ラピストリアの穴(2) 朝起きて、鏡を見つめる。ジェイドは少し跳ねている髪の毛を撫でつけた。鏡の向こうから、寝起きで青白い顔をした少年が睨みつけてきていた。
オパールのように複雑な色合いを持つ白髪は、光の加減で赤みがかったようにも青みがかったようにも見える。目を引くのはやはり、頭部を囲むように析出した結晶だろう。輝く結晶たちは、触れてみると見た目通り硬質だ。よく観察すればゆっくりと呼吸するように浮き出たり、引っ込んだりしていることが分かる。
ジェイドの身体は人間よりもラピスに近く、ほとんど結晶で構成されている。人の姿を保てるぎりぎりのラインだ。時折発作のように結晶の棘が飛び出し、衣服を破ってしまうので、彼は同じ服を何着も所持していた。
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