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    SOL_501

    版権絵(Fanart/Fanfic)置き場
    今はDISTRAINT(ドットホラーストーリー)の更新が多め

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    SOL_501

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    DISTRAINT(Fanfic SS)

    【コーヒー】
    ✴︎DISTRAINT(1)、昇進直後のお話


    赤い壁、赤い床。歩く度に聞こえる粘着質な音。薄暗くて狭くて、鉄臭い廊下。不気味な廊下を、プライスは俯いてとぼとぼと歩く。
    "あれ?俺はいつまでここにいるんだ?"
    ハッと我に返り立ち止まる。
    しかし、顔を上げればそこには…

    ジリリリリ!!

    「うわ!!!……朝か……。」
    プライスは煩く鳴り響く時計を止めて、怠そうに背伸びをした。

    今日は待ちに待った休日。彼にとって大切な癒しの一日だ。

    まずは一昨日ぶりにトイレへ行って用を足し、毎朝のルーティン通りに歯を磨く。クセのあるふわふわした髪の毛は、寝癖がついていても気にならない。プライスは鏡を見るが、今日は気が付かないフリをした。

    「これで良し」
    キッチンに立つと、パジャマの袖を捲り上げ、気合十分にコーヒー豆の入った袋を取り出す。
    今日はあえて、最新式のコーヒーメーカーは使わない。
    仕事の日ならば、1秒でも多く眠りたいがゆえに、コーヒーへ手間をかける余裕はないのだが、今日は休日。わざわざ手間をかけ、コーヒーを淹れる。もしかすれば、これが彼にとって今一番の人生の楽しみかもしれない。

    コーヒーミルで豆を挽き、香りを楽しむ。刃で豆が砕かれる度に手に伝わる振動にすら、心が躍る。
    挽いた豆を丁寧にドリッパーへ落とし、沸かした湯をゆっくりじっくり注いでいく。豆がふっくら盛り上がり、フィルターからぽたぽたとコーヒーが滴り落ちる。
    「うん、良い匂いだ」
    ようやくマグカップにコーヒーが注がれた。

    香ばしいコーヒーの匂いが、肺に満ちている。
    淹れたて熱々のコーヒーに息を吹きかけてから、ひと口。
    「うーん、美味しい!俺には美味いコーヒーを淹れる才能があるね!間違いない。」

    毎晩繰り返す悪夢、奇妙な気配、苦手な上司や、法に従う自分の判断で不幸となったであろう人々の事…その一切をほんの少し、コーヒー1杯が無くなるまでは忘れる事ができる。
    「コーヒーって、なんだか俺の味方みたいな存在だよな。」

    不思議と沸き起こる懐かしさと、なにかを愛おしく思う気持ちに、胸を苦しくしながらプライスは空のマグカップを握りしめて、少しだけ泣いた。
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