休前日のとある牛丼屋にて 金曜の夕方は誰も彼もが浮かれた表情をしているようにみえる。繁華街の人混みをかき分けてたどり着いたいつもの場所に、これまたいつもの仏頂面を見つける。ハンジはその変わらぬ姿にどこか安堵を覚えながら声をかけた。
「お待たせ。どこ飲み行く?」
「いや、今日は酒はナシだ。……保険を紹介して欲しい」
思ってもみないリヴァイの言葉にハンジは目をぱちくりとしばたかせた。
「ごちそうさまでした」
食べ終えたどんぶりをトレイの上に置いたハンジの隣でリヴァイは牛丼をちまちまと口に運ぶ。リヴァイのどんぶりに2割ほど残った具とご飯の比率はちょうど半々、毎度のことながら本当に几帳面だなと内心で笑う。
「なんだ?」
「なんでもない」
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