生と死の不可逆を無理矢理捻じ曲げた。正確には、捻じ曲げてもらった。
「……これで、満足ですか?」
「はい。ありがとうございます、エーテルネーア様」
寝台に横たわる身体はどこもかしこも傷だらけで、ぐるぐると包帯の巻かれた手を取り頬を寄せる。冷たくともほんのり温かい体温は、手首から伝わる脈打つ鼓動は、彼が生きている紛れもない証拠だ。
「今度は、ちゃんとやってみせるから」
はじめ、ミゼリコルド様は呆れた顔で心底意味がわからないと言った。エーテルネーア様は肯定も否定もせず、君がそれを望むならと言ってくれた。
魂の抜けた亡骸を引き取って、アークの術式で離れた魂を引き戻し元の身体に繋ぎとめる。だがそのままでは同じことの繰り返しにしかならないから天子の呪いを受けない聖印と共に今までの記憶を曖昧にしてもらう特殊な式も組み込んでもらった。
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