夏祭り6(銀ポニ) ——やけにふわふわだな。
それが最初に、目の前にいるこの男を見た時の印象だった。
そんなわけで、俺も多少は驚いたが、俺を見た男の方が俺よりも驚いていた。
「ひ、ひじかた! おい! これ、どういうこと! どういうことだよ!」
男のあまりの剣幕に俺が呆気に取られていると、奥から出てきたメガネをかけた野郎に首根っこを掴まれて引きずられて行った。
「はいはい、銀さん。とりあえず話を聞きましょうね。沖田さん、と……土方さん、でいいのかな。いらっしゃいませ。今日はお客様ってことでいいんですよね」
銀髪の野郎はまだ「なに、呪い?! それとも、タイムスリップ? 土方に何をしたんだよ!」と喚き散らしている。
俺の仲間だと紹介された真選組の奴等よりも、よほど慌て方が凄まじい。俺の名を呼んだということは、おそらく知り合いなんだろう。しかも、これだけ心配しているということは、友人、なのかもしれねぇ。俺に友人なんて呼べるもんができているとは思えなかったが、あんだけ大勢の仲間がいると言われた後だ。仲間以外にも、何かしら交流がある連中もいるんだろ。そこのメガネも、俺の事を知ってるみてぇだしな。
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