あたたかい家煌めきの都市が復活しても、真珠姫が何かにつけてここに来たがるものだから、すっかり近道を覚えてしまった。
「おにいさまの家、あったかい。」
暖炉のある部屋で、うたた寝しながら口にした真珠姫の言葉が、自然と思い出される。
「この家、あたたかいな。」
ぼんやりと、ベッド替わりの長椅子に横たわり、天井やら梁やらを見つめてみる。
煌めきの都市の部屋の居心地は決して悪くないけれど、この家は確かに居心地が良くて、あたたかい。
そういえば、この家で休んだのは、核が傷ついた時が初めてだったか。
あのときは何もかも必死で、真珠姫のことだけで一杯だった。
「自分の家、ってそんなものだよ。瑠璃も、少しずつ作って行けば良いんじゃないかな。」
ぼんやりと、煌めきの都市で、貰った部屋のことを考える。
石造りで頑丈なのはいいけれど、この家に比べたら、なんとなく冷たいのだ。何か家具を置いてみたら変わるのだろうか。
「考えてみる。絨毯でもしくかな。」
「小さめで良いなら、テーブルと椅子、作るよ。木材も結構余ってるから。」
「頼もう、かな。あと、本棚。」
「瑠璃が、本棚?そんなに本、あるの?」
「都市に入ってから、ちょっとな。歴史書や地図ばっかりだが…なんだよ、俺が本読んでて、文句あんのか。」