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    ジャンルもカプもごちゃごちゃ
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    guaと新レユ

    突然の体の痛みにGuardは思わず眉を寄せる。
    それに気づいた仲間が
    「Guardさん、どうしたんだ?」
    と言うのに、
    「悪い。ちょっと腹の調子が……」
    と軽く笑いながら返す。
    そして、心配そうに自分を見る仲間に大丈夫だというように片手を上げながら、早足でその場を離れた。
    仲間の姿が見えなくなった辺りで止まり、まず自分の服やズボンのポケットの中を、次にカバンの中を探る。
    しかし、目当てのものは―痛み止めはない。
    「はあ……」
    とGuardはため息をつく。
    さきほどまで、Guardは仲間とともに、食料や衣服の材料を得るため、ここ―拠点からやや離れたところで獣を狩っていた。
    しかし、それで怪我をしたというわけではない。
    Guardの痛みは鉱石病が原因のものだ。
    ロドスと違い、レユニオンが手に入れられる薬の種類や数は限られている。
    仮に薬が手に入ったとしても、症状の重い者や老人、子供に優先的に回される。
    Guardのところにまで薬が回ってこないことは珍しいことでないし、回ってきたとしてもその数はけして多くない。
    なので、薄々そんな気はしていたのだが、以前手に入れた分はもう使い切ってしまったらしい。
    仕方がないのでGuardはカバンからスキットルを取りだし、その中身を飲んだ。
    1口分にもならない、わずかな量でしかないにもかかわらず、強いアルコールの味と痛み、熱が喉を駆け抜けていく。
    しかし、おかげで体の痛みから少し意識をそらすことができた。
    「……ふう」
    喉を冷やすように息を吸い込み、吐き出してから、Guardは今自分が持っているスキットルを眺める。
    これはチェルノボーグを出る少し前、遊撃隊の1人からもらったものだ。

    あの時、彼に突然
    「あんたは酒を飲めたよな」
    と聞かれた。
    どういう意図の質問なのかと疑問に思いながら
    「まあな……。ただ、そんなに頻繁に飲むわけじゃないし、特別強いわけでもないが」
    とGuardは返した。
    その頭の中には、2つの思い出が蘇っていた。
    1つはロドスにいた時のものだ。
    外勤任務を終え、ロドスの本艦に戻ると、AceはGuardたち自分の部下を「俺の奢りだ」とバーに連れていった。
    しばらく皆で飲んでいると、Aceたちが戻ってきたことを誰かから聞いたのか、ブレイズがバーにやってきた。
    自分も速いペースで飲みながら、Guardたちのグラスに酒を注いで飲ませようとする。
    注いだものを相手がそれを飲み干すのを見届けるか、断られてしばらくごねると隣の人間に狙いが移る。
    そんなことをしながら、もっと飲めもっと飲めと皆に言うブレイズを
    「おい、あまりこいつらを困らせるな」
    とAceが呆れた表情をしながらたしなめた。
    すると、ブレイズがバツが悪そうに笑いながら、
    「皆が無事に帰ってきたのが嬉しくてさあ……」
    と真剣な声で言うので、Aceも仕方がないなといった感じで笑い、ブレイズに自分のグラスを差し出したのだった。
    2つ目はパトリオットがチェルノボーグを出て龍門に向かう前に、Guardが彼に会いにいった時のことだ。
    パトリオットは凍原から持ってきたという酒を、そんな貴重なものを自分が飲むわけにいかないと遠慮するGuardのグラスと自分のグラスに注いだ。
    遊撃隊の隊員の中には同じように凍原から酒を持ってきた人間がいたらしく、それを自分や周りの人々のグラスに注いでいた。
    Guardはウルサスの酒をあまり飲んだことがなかったので、せっかくパトリオットの大事な酒をもらったのだからと勢いよくグラスの中身を喉へ流し込んでしまった。
    そして、すぐにそれを後悔した。
    叫び声を上げるGuardを見て、遊撃隊の隊員たちが笑った。
    ひょっとするとパトリオットも笑っていたのかもしれない。
    どちらももう遠い出来事のように感じられた。
    そして、そのどちらもが思い出すと胸が温かくなると同時に締めつけられた。
    Guardは思わず少しの間まぶたを閉じた。
    Guardの返答を受け、
    「ならこれを持っとけ」
    とその遊撃隊の隊員はスキットルを渡してきた。
    重さからして、中身は入っているようだった。
    「これは……」
    とGuardはそれを眺める。
    細かい傷がいくつもついている。
    新品ではない。
    「兄弟が持っていたものだ。2つ持っていても仕方がないからあんたが持っててくれ」
    兄弟、というのはおそらく実の兄弟のことではなく同じ遊撃隊の隊員のことだろう。
    そして、スキットルをその人物ではなく彼が持っているということは―
    「いや、俺は……」
    Guardはスキットルを返そうとしたが、彼はそれを両手で押しとどめた。
    「いいんだ。あんたと俺は今は同じレユニオンだ。あんただって俺の兄弟さ。……俺たちはレユニオンとして再び歩き出すんだ、パーッと皆で飲みたいところだが、まだそんなことをするわけにはいかないからな。その代わりだと思ってくれ」
    Guardがためらいながらもスキットルをカバンにしまうのを見届けてから、彼は
    「……酒は気晴らしにもなるし、痛み止めにもなる。寒い時には体も温まる。色々と役に立つだろうさ」
    と言った。
    ロドスも物資が潤沢にあるというわけではないが、レユニオンや遊撃隊はさらに不足している。
    物資の不足は単に生活が不便になるだけでなく、人々の精神的な余裕を奪う。
    今まで、彼らはそれをどうにかして乗り越えてきたのだろう。
    酒のもたらす酔いや体の熱、あるいは酒を飲みながら交わす仲間との会話が彼らの心身を支えたのだろう。
    そんな日々の苦しさ、辛さ、それだけではない懐かしさ―そういったものが、Guardから視線を離し、遠くを見つめる彼の表情からうかがわれるようだった。

    そんなことを思い出しながら、Guardはもう一口スキットルの中身を飲む。
    Guardはまだこの味……というか刺激に慣れていない。
    よくウルサスの人々は平然とこれを飲んでいるものだと思う。
    しかし、昔よりはだいぶ慣れてきた気がする。
    「……よし」
    そろそろ戻らなければ、仲間たちはいよいよ自分のことを心配するだろう。
    Guardは仲間たちのもとへと戻るべく、歩き出した。
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