吾輩はスライムである私はスライムである。名前はまだない。
そんな私は今、お腹が空いている。
「あー……お腹空いたなぁ」
朝から何も食べていないのだ。
私には家族がいない。親兄弟はおろか友達すらいない。一人で生きてきた。
「もうダメかも……うぅ……」
力なく地面に横たわる。意識が遠のいていく中、
「えっ?」
気がつくと私は人間の姿になっていた。しかも裸である。服がない。しかし自分は服があるなしなどといったことの恥じらいがわからなかった故に、そこは大した問題ではなかった。
「なんだろうこれ?とりあえずこれでいいや」
近くに咲いていた花を摘み、頭へと挿す。そしてまた寝転ぶ。
「まあいっか……疲れちゃったし……」
目を瞑る。すると今度は夢を見た。
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