人気のない空き教室で、オ・ボムソクはぐったりと机に伏していた。ぼんやりと回る視界の中で荒い息を吐く。最初はひんやりとしていた机も、頬をつけているうちにぬるくなってしまった。がら、と誰かが教室に入ってきた気配にゆっくりと目を開く。
「これ、買ってきた」
ヨン・シウンが差し出してきたペットボトルに、のろのろと顔を上げる。ボムソクの青白い顔色に、シウンの目が心配そうに細められた。
「あ、ご、ごめん……お金、」
「いいから。ゆっくり飲んで」
「あ……」
ぐい、と押し付けられたペットボトルの冷たさに驚きつつも、おとなしくすでに緩めてあった蓋をあけて、ボムソクは一気に半量ほど飲み干した。机なんかよりよほど冷たい水が喉をとおり、ようやく一息つく。
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