Will of Fate 創星神の遣わす精霊は、世界に詩を届け、数多の恩恵を授けた。
故に精霊は神と同一視され、人々は精霊を信仰する。
そうして、この世界は数多の精霊に見守られてきた。
人々は精霊を慈しみ、愛し、感謝をささげる。
精霊は、総じて大事にされる存在であり、目に見えない存在だ。
――只一人の精霊を除いては。
「ダイゴ様、本日は法王様に御用でしょうか?」
朝日が照らす大聖堂の正門の前で、二人の衛兵は銀髪の青年――ダイゴに敬礼をする。
「ああ、そうだね。法王即位式は親父に頼まれた件のせいで行けなかったから、顔ぐらいは拝んでやろうと思ってさ。」
「そうでしたか。それでは、お入りくださいませ。」
目の前で交差していた二本の衛兵の槍が離れ、ダイゴの入城を許す。
7368