風の行く先「ヒュンケルが、もう出発した……?」
愕然と、事実を確認するようにエイミが呟く。
「昨日の今日で、ですか……!?」
「そうね」
表面上は困ったように、しかしどこか楽し気な色を隠しきれていないレオナは、それでもどこかあきれたようにため息を吐く。
「私は止めたのよ。ほとんど休まずに行こうとするんですもの。でも私の静止なんか聞かないわよ、あのふたり」
そう、つい先刻ヒュンケルはあの半魔の男、ラーハルトとともにこのパプニカ城を出立した。
行方が知れなかった勇者ダイが帰還して三日が経ち、昨晩はパプニカの王城でほとんど内輪のパーティーが開かれた。
他国の来賓を呼んでのものは後日、日をあらためて行われるが、ひとまずはアバンの使徒を中心としたごく一部のものたちでダイとの再会を祝したのだ。
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