狐鬼 謎の洋館に迷い込んだ。
何かこの洋館って確か……ブルーベリー色の奇形的な奴に追いかけられるとか言うアタリ殿がやっていたゲームに似ている。
まさか……そのような事になったりは無いはずだ。
それに俺一人だけ迷い込むという事実がそのゲームではありえない事だ。
……とりあえず散策をしてみるか。
玄関は……鍵がかかっていて開きそうに無く、魔剣も出せない所を見れば魔術封じの結界のようなものがあるのだろう。
まずはココがどこかを把握する事、そしてどこか脱出口があるはずだからそれを探すこと。
とりあえず他に迷い込んだ方は居ないようなので、1人で探索すべきなんですね。
はぁ……カラバリでもいいから居てくれれば心強かったのに。
1人は苦手だ……。
戦争で斬り捨てた人達の顔を思い出したり、断末魔の叫び声や何より……あの戦争の傷痕が痛む。
#コンパスに来た時点で傷は完治しているし、人では無いことは分かっているのだが……こういう場での1人は嫌だ。
『あ、あ、あ、アタリ殿
何か追ってきてますが!』
『くるくる回ってたらまけるぜ!』
『無理です!
アタリ殿してください!』
『青鬼』を事前にプレイしていたせいで、より怖さが増す。
ソーンがお化けを怖がるのも納得いきますもん。
だってあの青鬼は俺が斬り捨てた人達の怨念とよく似ていたから、捕まってはいけないと分かっていても手が震えて……アタリ殿に押し付けてきた。
大丈夫……大丈夫だ、落ち着け。
過呼吸を起こしそうになる身体を落ち着かせながら、壁伝いにゆっくり歩いていく。
向かい側の壁に何か書かれていたから、その貼り紙を見に行ってみた。
向かい側の壁に書かれた紙を見ると、
『狐鬼に捕まってはいけない』
としか書いていない。
狐鬼が何なのか解らないが、捕まってはいけないのならまずは洋館の探索を進めて出入口の鍵を探さなければいけない。
ある程度探索が進み、鍵を複数個手に入れたくらいに上の階辺りから
「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッ」
何事があったのか、叫び声が聞こえた。
断末魔にも似た、俺が聞きたくないような叫び声……その声で心臓が早鐘を打ち出し、自分でもまずいと思った。
見に行くのも怖く、今の声で過呼吸を起こしその場にうずくまってしまった。
───それから数分後
狐面を着けた何かが俺を覗き込んでいる
「ヤヤ……新シイアダム殿ダネ」
「……っ」
思わずソイツを突き飛ばして急いで逃げた。
過呼吸起気味で上手く息が出来ず、吐き気まで催してくる。
アチラは武器の類が使える為、風の刃のようなもが背中をかすり、痛みに耐えながらも走った。
自分の体調的にも1番手短なドアを開ければ……自分でも無様な位無我夢中で全力で走った。
自分の中の第六感が「アイツはヤバい」と言っているので、ちゃんと動けるうちに走らなければいけない……
とりあえず開いていたドアの向こうに逃げ込み、倒れ込むように入った。
「……まけたみたいだな。」
まけたと分かった瞬間、吐き気が耐えきれずそのまま吐いた。
「……ハァ……ハァ……気持ち悪い……薬……っ……」
発作を抑える薬を常備しておいて良かったと思いつつ……水無しで飲めるものでは無い為、動けるようになれば水を取りに行こう。
視界が滲む……今のままでは動くことはおろか、立ち上がることも出来ないから……とりあえずは……此処で……。
「大丈夫ですか」
誰かが抱き上げてくれて、介抱してくれた。
「……う……うぅ……」
遠のいて来る意識を繋ぎ止める事が出来ず、俺はその誰かに身体を預けるしか道が無かった。
───
まずいな、新しいアダムか。
同個体が迷い込むことはよくあるが、彼は瞳を見る限り擦り切れる手前の繊細過ぎる個体か。
手に薬……安定剤か。
「……ゆっくり口開けて、そう……」
薬を飲ませて自分の膝に彼の頭を置いた。
飛刃で斬られたのか、背中に傷があり止血をしてから応急処置をした。
2階から聞こえた叫び声は何なんだ……
あの狐の面を着けた妖怪みたいな女が狐鬼か
とりあえず、動けない彼を置いて行くのはリスクが高いのでフードを被せてから背負って行く事にした。
吐いているし、ここで倒れているという事は狐鬼に捕まったと言う訳ではなく精神的な意味でだろう。
「……鍵、多少は拾ってくれてるみたいですね。」
多分狐鬼かあの叫び声で探索困難に陥ったのだろう。
大丈夫、彼は俺が守りながら探索する。
狐鬼の好きにはさせない。
──
目が覚めたらベッドに寝かされていて、襟元も寛げてくれている。
誰かが……運んでくれたのか?
「……おはようございます。」
「……あ……俺以外にも……誰か居て……くっ!」
起き上がろうとしたら傷が痛み、自分では浅いと思っていたのだが思ったより深手だったのか……。
「……とりあえず探索エリアを共有したいのでお話を聞かせてください。」
茶色い帽子を被った彼がこの居館についての説明をしてくれて、自分が「アダム・ユーリエフ」だから入れたとされている。
「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」
また叫び声がした。
「近いな。」
「……っ」
ビクッと肩を震わせたら、彼が耳を塞ぐように抱き締めてくれた。
「……大丈夫、俺達だけでも脱出出来るように頑張ろう。」
俺が落ち着くまで抱き締めてくれていて、葉巻混じりの香水の香りが少し懐かしさを感じた。
──
まずい、床が抜けて……っ
探索中していたら急に床が抜けて、落ちた所に狐鬼が居た。
「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」
熱いのが……尻に……っ
「ヤヤァ、アダム殿ハ処女ナノカイ?」
「ひぎっ……」
腹の形が変えられて……内臓が……多分ダメな形にされている……
「かっは……やめっ……」
今動かされたら……マジで壊される……
「らめっ……♡」
容赦ない……こんなの……腹が壊されて……頭がピリピリして……入っちゃいけない穴まで突っ込まれて、ダメだ……こんな大っきいので突かれたらクセになっちゃ……♡♡♡
「コレ……邪魔。」
服を破り捨てられ、全裸にされれば容赦なく内臓をめくるように突き上げながら乳首まで刺激され、舌が……しまえない……。
頭が……ボーッとして来て……こんなの……逆らえない……♡♡♡
「次僕輪姦シテ。」
精液が……お腹で暴れ回るの……気持ちいい……♡
────
2人で探索をしていたら、喘ぎ声が聞こえて来たから誰か捕まったらしい。
繊細過ぎる彼には俺の言葉しか届かないテスラ特製の特殊な耳栓を着けさせ、フードを被せてから俺が肩を貸して後ろに隠すようにして移動している。
奴らには彼がソーンだと思わせなければ。
狐鬼が喰っている今なら簡単に離れられる。
そう思いながら開けたベッドには……穴という穴から精液が溢れ出たアダムの残骸が落ちていた。
「……ココは探索済んだ。」
「……?
解りました。」
よく分からないまま彼が閉めたドアについては触れないようにした。
探索中にまた別の所にも紙が貼られていた。
「またこの紙……なになに『狐鬼に捕まれば陵辱される』……陵辱は……避けたいな」
ピアノがある部屋に着き、とりあえず片っ端から引き出しを開けて譜面台にあった小さな鍵を拾ったら……いきなりドアが開いた。
『ヤヤァ…ココカラ気配ガシタンダケドナァ…』
まずい、奴に見つからないようにしなければ……
「くっ」
アイツに捕まってはいけないらしいから、捕まらないように遠回りをしたが……逃げきれずに引っかかれて袖を持ってかれた。
「……いっ……」
持って来たハンカチで止血をして呼吸が整うまで物陰に潜んだ。
彼は……一緒に居た彼は無事なのか……
数秒遅れて彼は俺が居る物陰に入って来て、2人で息を殺した。
「ヤヤァ……
何処二行ッタノカナァ……」
耳栓を少し外して下駄の音が遠ざかるのを確認し、動こうと思ったら……足がすくんでいた。
「……っ……」
「……やっぱ狐鬼は怖いよな、」
また彼におぶってもらい、探索をする事にした。
───
とりあえずさっき見付けた小さな鍵で開くところを探そう。
2人で逃げ込んだ部屋の戸棚にさっき見付けた小さな鍵が入りそうだ。
──カチャカチャ……ガチャ
戸棚が開いたから中を確認すれば資料が色々あり、薬草を見つけた。
「……何かコレを調合できる物を探すか。」
とりあえず薬草だけでは多分使えない……まず使いたくないから、どうにかしてすり潰して薬を作りたい。
狐鬼に見つからないように慎重に歩きながら、キッチンらしき場所にたどり着いたので食料と水を確保してから薬草をすり潰してクリームケースに移してから止血をしていた傷口に塗って別のハンカチを当てがった。
血の匂いでくるタイプの敵なら厄介でしかない。
「神出鬼没相手に武器も無し……とりあえず入口の鍵を見つけなければ。」
逃げなければ……逃げ……っ
「ひぐぅっ」
這って逃げ出そうとしたら腰を掴まれ、また内臓をめくりあげるように挿入をされる。
『ひぎゃぁぁぁ』
尻が……メリメリと鳴ってる……痛い……痛い……
『ヤヤァ……声ガ可愛クナイネ。』
口枷を噛まされ、得体の知れない奴に内臓を抉られるみたいなレイプされてるのに……どうして……気持ちいいって思ってしまうんだ……
───はっ
俺は一体何を思い出して……。
隣ですやすやと眠る彼を見たら何故か安心した。
俺は……この居館で狐鬼に捕まった事があるのか……
GAME♂VERになった際の記憶があるなら……俺は……もう掘られている……
数少ないベッドで2人で眠るのはどうかと思うが……キングサイズと言う事はかなり大きな人が居たのか……?
しかし、狐鬼が俺を襲わない理由は何なんだろうか……。
───
逃げたアダム殿を探しても良いと思ったが、2週目の彼は僕を見る度に泣きながら逃げた。
「ヤヤァ……アンナ表情サセル気ハ無インダケドナ。」
複数居る僕達はそれぞれ好みが違う為、好きなカラバリが来れば出現するようにしているけれども1度GAME♂VERになった個体はひたすらに怯えて僕達を拒絶するんだ。
『うわぁぁぁ来るなぁぁ』
『ひっ……来ないで……』
泣きながら失禁して意識を失ってしまう子も居ればそのままGAMEOVERになる個体も居て……。
現在1人だけしかアダム殿を手に入れられていない。
GAME♂VERにならず、僕のちんぽに堕ちた片手で数える位しか居ないアダム殿を輪姦しても自分の好きなアダム殿では無いから満たされる事は無い。
狐鬼の特性上、アダム殿を捕まえれば容赦なく陵辱しているから。
「……中也コラボノアダム殿ハ厄介ダネ」
「犯シナガラ言ッテモ説得力無イヨ」
僕達から見ればアダム殿はこの規格外なイチモツを挿入れる為の「穴」でしかないから。
この捕らえたアダム殿達は声を出す事もなく、ただ人形のように犯されているだけだった。
「最近迷ィ込ンダ冷タイ目ノアダム殿モ良イイナ。」
「でも彼ニ関ワレバ返リ討チニ遭ウ。」
何体か退治されてしまったから、
彼以外を狙うようにしてこうか。
僕も自分のアダム殿が欲しい……。
「傷、見せてください。」
起きればさっき作った傷薬をポケットから取り出し、俺は上を脱いで傷口を見せた。
何故か彼と居る時は過呼吸等も起こしたりせず、普通に居られた。
傷の手当が終わった後、彼と簡単名地図を見て謎が隠されたメモを見ながら解読していた。
少なからず自分達以外にもアダムは居るかもしれない。
とりあえずまだ調べていない場所があるから行ったら、パスワードを間違えたら狐鬼が出た。
「走るぞ」
手を引かれて、捕まらないように来た道を戻って行った。
とりあえず、また新しいメモの破片を探さねば……。
「……あの絵、ドライバー使えませんか?」
たまたま逃げ込んだ部屋にあった絵にもしかしたらパスワードがあるかもと思い、提案したらネジで板を取り付けた。
「……ありましたね。」
「よく都合よく穴が開いていたなぁ。」
呆れながらもメモをしていて、さっき拾ったピースはどこで使うのだろうか。
「……オリジナル、少しそのピースを貸してくれないか?」
「あ、はい。」
はめ込むにしてはヤケに立体的で……おかしいなと思いながら中也コラボに渡すと……
✱印の着いた桃のピースにイチモツ型のピースを差し込んだ。
「なっ、な、な、な……何してんだぁ」
「……いや、こうやってはめ込むんじゃねぇんだなって。」
「抜けなくなったらどうするんだ」
そんなギミックがあるなんてもはやピースで無く違うものだろと思いながら、初めて来るエリアだし……試す価値はある……のか?
「……ソコの♡の石版にコイツをはめ込んでみるか。」
──カチッ……カシャン
どこかでドアが開く音がした。
足元にある鍵を拾った瞬間に狐鬼が出たから、思わず足がすくんだのを察した中也コラボは俺の足を小脇に抱えてから簡単に肩に担いで走った。
「おい、俺は荷物じゃ……」
「こうやって運んだ方がてめぇは早いんだよ!」
2人で走るより彼が走った方が足が早いので確かに効率はいいが……どうして俺は狐鬼を見ただけで足がすくむんだ……。
隠し扉を見つけた彼がそこに入ったので何とか撒けた。
「……やっぱり……お前はGAME♂VERなった個体、だな。」
「……っ……」
「……自分じゃ見えないと思うが、尻の少し上に裂傷の痕が見えた。
後は狐鬼に対して異様なくらい怯えていて、出会った時からお前の瞳は絶望を移したように目が焦点を喪っている。
大丈夫、さっき拾ったのは玄関の鍵だ。」
優しく頭を撫でてくれて、携帯電話で彼は記録をとっていた。
「……ちゃんと記録を取れてたからGAME♂VERになってもやり直せたんだ。」
俺は途中で拾った携帯電話を握り締めながら記録を取っていない個体の末路を聞いた。
「……記録をとっていなかったら……?」
「壊れるまで狐鬼の奴隷となる。
だから、記録を覚えていて良かった。」
アタリ殿が『セーブはこまめにしとけよ!』って言っていたから、固定電話を見つけるたびに記録を取っていて、携帯電話を拾ったらその場でしつこいくらいまで記録をとっていた。
「……狐鬼は、こまめに記録をとる個体は襲えないんだよ。
一度レイプされた記憶が残ってるからな。」
あぁ……あの記憶は現実だったのか……。
「ウア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」
また……誰か捕まった。
「……玄関の近くに居るかもしれないな……
一度エレベーターまで戻ろう。」
エレベーターまで戻り、モニターで周囲を見た。
1Fは……大丈夫そうだな。
万が一に備えて、1Fに着く前にまた肩に担がれ、エレベーターから玄関まで彼が走っていった。
「しっかり捕まってて下さい。」
モニターが見えない以上、狐鬼が居ないとは限らない為強行突破を覚悟しなければならない。
エレベーターを開けたら既に狐鬼に待ち伏せされていて、絶対に逃げ切れることはないと思った。
「……っ……」
「……意識飛ばすなよ
しっかり、俺だけを見とけ!」
「……はい!」
振り向いてる余裕なんてないから、今は彼の足を信じるしか無かった。
追いかけて来る狐鬼の手が俺のコートの裾を掴むギリギリの所で玄関の鍵を開けて、鍵が壊れたので捨てながら彼は豪快にドアを蹴り開けて館から走り出た。
「もっと丁寧に開けましょうよ!」
「……長い足なもんで、手より早かったんですよ。」
ククッと笑いながら、2人で記録をとっていた携帯電話を狐鬼に向かって投げ付けて怯んだ隙に、彼はまだ加速出来るのか地面を蹴ればものすごい勢いで狐鬼を振り切って館の敷地内から出た。
俺はただ掴まって居ただけなのにものすごい疲労感に駆られ、目からは涙が止まらなかった。
やっと全てが終わったのだと。
その後は……ヒーロー専門の病院に行き、俺の治療をしてもらうことになった。
あの屋敷での出来事は悪夢だったのか、それとも現実だったのか……分からなかった。
そして、彼は俺に連絡先を渡してくれて退院日には迎えに来てくれると言ってくれた。
コレで……俺にも平穏な日々が帰ってくる……そう信じたかった。
狐鬼の屋敷は……似たようなゲームをプレイをするアダム・ユーリエフのみ入れる陵辱の館。
生きて帰って来れたアダムはこの2体のみである。
ゲームに慣れていないアダム達は必ず記録をとると言う概念を持たない為、狐鬼の餌になりやすい。
そしてセーブをすると言う説明を彼らがしっかり聞いているとは限らないのだから。
今日もまた、屋敷に新しいアダム殿が来たみたいだね。
でも僕はハンティングに行かないでいいかな。
イレギュラーに感染した狐鬼は皆死んじゃったけど……僕だけは生き残ったみたいだね。
同じイレギュラー同士だから、バグが侵食して動けなくなった時に鎖で繋いで眼孔姦までして……イレギュラーの侵食により喉が潰れちゃったから声は出ないけど……彼は僕無しでは生きて行けない身体になったみたいだね。
血が流れ、精液が溢れ出てくる眼孔と虚ろな目……僕だけはアダム殿に「選ばれた狐鬼」だから。
僕の精液で彼の身体を侵すバグを止めているから、彼は僕に種付けされなければ生命維持が出来ない。
眼孔から脳髄まで一気に挿入すればイってしまう彼の頭を抱えながら、耳元でこう囁いた。
「ズゥット一緒ダヨ、アダム殿。」