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    ChukanabeMH

    @ChukanabeMH

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    ChukanabeMH

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    ウツハン♀
    ウツ→→ハンで、付き合っていると思っている教官と、そんな気は全くなかった愛弟子
    もっと拗らせようと思ったけどたぶん終わらないので

    ザ・ミステイクショー「愛弟子、いってらっしゃい」
     カムラの集会所、出立口の前。今から狩猟に行く人間に対し、ウツシははつらつと……そして何処か甘さを含んだように声を掛けた。準備をしていた少女はそれに一つ頷くと、ウツシはそっと彼女を抱きしめた。まるで恋人同士のようなやり取りである。だが、抱きしめた本人は気にせずに、準備を終えた少女の背中をそっと押して出発したのを見送った後、自身も仕事に戻るべく納涼床から跳躍し姿を消すのだった。

    「ねえ、アヤメさん」
    「なんだい」
     そんなやり取りを見ていたアヤメは、声をかけられた方に首を動かす。そこには最近カムラの里にやって来た、女性ハンターの姿が。彼女は自分の爪紅を見つつ、先ほどまでウツシがいた方に視線を向ける。
    「ウツシさんとお知り合いなんですよね」
    「あぁ……まぁね」
     唐突な発言にアヤメの機嫌は一気に悪くなる。見ず知らずではないにしろ、挨拶も名乗りもせずに唐突に用件だけ突きつけてくるその図太さに、思わず拍手すら送りたくなった。
     大方用件は分かっているのだが――。
     そんなアヤメの機嫌などお構いなしに、にんまりと笑って彼女は口を開く。
    「よかった! なら、ウツシさんの好みのタイプって知っていますか?」

     ――少なくとも、アンタみたいな子は好きじゃないと思うよ。

     と、でかかった言葉を溜息と共に飲み込む。

    「それ、知ってどうするんだい」
    「勿論、アタックするに決まっているじゃないですかぁー
     だって私たちハンターですよ?」

     一括りにしないでほしい。

     アヤメはちらりと女性ハンターの方を見た。狩猟に行かないからか、開いた胸元と、少し華奢な体つき。男性であれば庇護したくなる愛らしさはあるが……。
     そこまで見て、納涼床の柵にもたれかかっていたアヤメは天に向かって溜息をつく。自分の定位置がウツシと近いせいか、時折こうして話しかけられる事がある。やれ、あの男は誰だ、だの。あの人を紹介して、だの。そういう言葉を聞くたびに、あれのどこがいいのかと思ってしまう。
     そも、ウツシは見た目こそ爽やかな美丈夫だし、実際に性格も優しい部類に入るが、つい最近まで災禍に見舞われていた里を守っていた男だ。枠線に入った者以外は、路傍の石と変らないと考えている節がある。

    「一応聞くけど、どこがいいんだい」
    「え、だって若くして教官の地位についていて
     かつ上位ハンターでもあるんですよ? それにイケメンだし、優良物件じゃないですかぁー」
    「あぁ……」
     なるほど、ウツシが一番嫌いそうなタイプである。
     きゃあきゃあとはしゃいだ声を出す女性ハンターに、アヤメは内心「げっ」と舌を出した。

     先ほども言ったが、彼は自分の線引きで認めた人間以外はどうでもいいタイプだ。誰にでも優しいという事は、誰もがどうでもいいという事に等しい。ただ唯一無二を覗いては……。
     だからアヤメは呟いた。
    「ウツシ教官に彼女がいたら、一体どうするつもりだったんだい」
    「え、だってまだ結婚されてないんですよね? 仮に彼女がいたとしても、その人が私より早く出会っただけですし」
     ギラギラとハンター特有の目を持って、彼女はアヤメを見る。何か盛大な勘違いをしているのだろうと判断を付けて、次の言葉を待っていれば……。

     ――私にもチャンスくらいありますよね?

     その一言で、集会所の空気が氷付いた。

     ハナモリがそっと外に出たのを見て、アヤメは本日何度目かの溜息をつく。
     哀れにも、雷狼竜の巣を突きまくった女性に向かって。

    「アンタ、里を守るために命を賭して戦えるかい?」
    「え?」
    「前線で戦って……それでも尚生き延びて、災禍を払えるかい?」
    「な、何の話ですか?」
    「巨大な古龍を一人で倒して、そうして生きて帰ってこれるかい?」
    「そんな、そんなの無理に決まっているじゃないですか」
    「ま、そうだろうね……普通はそうだ
     けど、そういう焔じゃないと、ウツシっていう人は捕まえられないよ」

     それが好みのタイプだと、ようやっと気が付いた。そして誰の事を指しているのかも。さっと顔が青くなる彼女を見て、事の大きさに気づいたらしい。見てくれだけで判断したあたり、経験が足りないのだろう。あれは顔だけがいい男ではないのだ。

    「ついでに、藪を突いて大蛇を出すような真似、誰だって嫌だろう」

     警告はした。
     あとは知らぬ存ぜぬだ。アヤメは遅めの昼食をとるべくオテマエの方に向かって歩き出す。そうして思い出したかのように固まったままの女性ハンターに向かって声を掛けた。

    「あぁ。そうだ
     アンタも気づいていると思うけど、あの子に何かあったら本気で里から追われるから……気を付けなよ」

     下手な勘ぐりはしない方がいいと釘を刺して、用意された団子にアヤメはかぶりつくのだった。


     ――そもそも、あの二人が付き合うまでに、随分と長い時間がかかったのだ。だから、人の恋路を邪魔するやつは、蹴られてしかるべしなのである。



     少女が狩猟から戻ってくると、先に見回りを済ませていたウツシは納涼床の上に音も立てずに降りて来た。そのままそっと少女の頬に手を添えると、怪我がないかと顔を覗き込む。
    「おかえり、愛弟子」
    「はい、ただいまです」
     帷子で口元を隠しているとはいえわかりやすく笑ってみせれば、少女はほうと息を吐いた。どうやら溜まっていた疲れが抜けたらしい。ウツシはそんな彼女を優しく抱きしめると、少しだけ残念そうにつぶやく。
    「本当は一緒にご飯を食べたいんだけど、今日は溜まっている仕事を片付けないといけなくてさ……」
    「大丈夫ですよ、オトモ達と一緒にご飯を食べますので」
    「うん、戸締りはちゃんとしてね? あとご飯はしっかり食べて早く寝る事。大事なのは」
    「食事と睡眠、ですよね」
    「うん」
     ウツシとの約束を交わし、少女はふにゃりと笑う。それが合図だったのかウツシはもう一度少女を抱きしめた後、先ほどと同じように音も立てずに納涼床の上から消える。まるで風のようだと少女は思いつつ、ふと気になっていた視線に向かって首を動かした。そこにはアヤメが一人。徳利を机の上に乗せて一人で晩酌をしているではないか。
    「アヤメさん」
    「おかえり」
    「どうかしましたか?」
    「いや、仲がいいなって思ってね」
    「そうですかね?」
    「そうだよ」
     元々距離感が近い師弟である。少女がそう思っていても仕方のない事だろう。アヤメは苦笑して手招きをする。せっかくだから奢らせてもらおうと思ったのだ。素直に近づいてきた彼女を向かいの席に座らせると、オテマエに適当な品を頼む。
    「ま、仲が良くてなによりだ
     ウツシ教官の浮かれっぷりは少し面倒だけどね」
    「へー」
     アヤメがそう言うと、少女はあまり興味がないとでも言うように相槌を打つ。その状況に妙に違和感を覚えた。普通であれば照れたり、何か言ったりするのだろう。
    「へー、ってアンタね」
     違和感を感じたまま、アヤメはその疑問をぶつける。
    「ウツシ教官と付き合っているんだろう?」
     だが、返ってきた答えは誰もが理解しがたい言葉だった。

    「え? なんで私と教官が付き合っているって事になっているんですか?」

    「…………は?」

     長い間を開けてからアヤメが返したのは、あまりにも呆けた声。いくら距離が近いとはいえ、ウツシのここ数か月の行動を見ていれば、誰でも付き合っていると思うに決まっているだろう。だけど、少女曰く逢瀬などしていないのだという。
    「いや、どこからどうみても……」
    「私もさっぱりなのですが、むしろいつから教官と付き合っていると思われていたんでしょうか」
    「そりゃ……」
     ほんの数か月前、ウツシが嬉しそうな顔をしていたのを思い出す。何かいいことがあったのだろうか、と思ったのだが聞けば大抵面倒な事になるのでアヤメは放っておいたのだ。恐らくあの日以降だろう。そういえば前日はフゲンやゴコク達にひどく酒を飲まされていたようだった。そこまで伝えると、少女は腕組をして少しばかり唸った後、思い出したかのように口を開いた。
    「あぁ、ならあの時からかな」
    「あの時?」

     曰く、夜遅い時間に布団に入って温まっていれば、閉じていた戸が唐突に開いたらしい。すわ何か緊急事態なのかと思っていれば、現れたのは顔を真っ赤にしたウツシの姿。帷子で隠れている口元はあらわになっていて、目も潤んでいる様子。こちらを視認したかと思えばふらふらと千鳥足で近づいてきて、三和土の上に座り込んでしまった。
    「教官?」
    「あーまなれしだぁ」
    「うわ、お酒臭い」
     どうしたのかと近づいて見れば、むわりとけぶる酒精の匂い。これはフゲン達にしこたま飲まされたのだろう。と、少女は慌ててウツシに水を渡す。
    「飲めますか?」
    「んー、飲ませて」
    「えー」
     酔っ払いここに極まれり。ほぼ前後不覚なウツシに無理矢理湯呑の口を付けさせて、零れる水もお構いなしに飲ませていく。ごくごくと動く喉仏が色っぽいのだが、そんな事を言っている場合ではない。やがて飲み干すと、少女はウツシの腕を取る。このまま三和土の上にいると風邪を引いてしまうかもしれないからだ。だが
    「まなれしー」
    「おもっ!」
     いくら狩猟武器を振り回しているとはいえ、相手は筋肉の塊だ。おまけに酔っぱらっているせいかびくともしない。どうしたものかと思案していれば、ウツシは掴まれた腕を引いて少女を膝の上に乗せる。慌てて離れようとする彼女を抱きしめて、そのまま頬に口づけた。
    「まなれし、だいすき、かわいい」
    「うあ……」
     かわいい、すき、かわいい。自分が何を言っているのかわかっていないのだろう。ひたすらにそれだけを絡繰りのように繰り返す。だが、少女とて伊達に長年共にいる訳ではない。ウツシの丸太のような腕を軽くたたく。
    「ほら、教官。そんなところにいたら風邪を引いてしまいます」
    「んー?」
    「とりあえずお布団いきましょう」
     寝かせたらこちらの勝ちなのだ。自分は客用のものを敷けばいいとウツシに訴えれば、彼は嬉しそうに笑って再び少女の頬に口づける。
    「まなれしがちゅーしてくれたらいいよ」
    「ええー……」
     なんだそれは。
     だが、動いてくれない事にはどうしようもない。とウツシの頬に口づける。子供じみたリップ音が聞こえるも、ウツシは何処か不満げに唇を尖らせていた。
    「ほら、お布団行きますよ」
    「んー……」
     条件は満たした。別にどこにという指定がないのだから仕方ないだろう。ウツシに促せば、彼は少女を抱き上げてそのまま布団の上に寝転がる。
    「ちょっ、装備!」
    「あぁー」
     少女はウツシに叱咤すると共に、ごつごつとした篭手や胸当てをどうにか外し、無理矢理寝やすい恰好に仕上げた。そうしてすでに寝に入っている彼を見て、大きくため息をついた。
    「ここまで酔っぱらっているの、珍しいな」
     大方断れなかったのだろう。目元を見ると、少しだけ隈もある。顎には髭も生えていた。
    「お疲れ様です」
     彼の弟子なのだから、たまには我儘も聞こう。そんな事を思って少女は目を閉じた。


     翌朝。日が昇ろうかという頃合いに少女が目を覚ませば、布団の上で土下座しているウツシの姿があった。
    「あの……」
    「すまない! 愛弟子!! 迷惑をかけたと思う!!」
    「あー……」
     寝間着は乱れていないし、ウツシも装備を外した程度だ。恐らく酔っ払いの介抱をしたことに対する謝罪なのだろうと少女は理解する。けれど、それが嫌だったかと言えば――
    「教官なら」
    「え……」
    「大丈夫です。教官ならいいですよ」
    「ほ、本当に?」
    「はい。なんだかんだ言って、嫌じゃなかったですし……」
     普段と異なるウツシを見れたのだから、あれはあれで楽しかった。
    「よかった! 嬉しいよ!」
     だからそう伝えれば、ウツシはいつものようににっかりと笑ってそう言ったのである。


    「…………」
     アヤメはそこまで聞いて、思わず手で顔を覆った。十中八九、否誰がどう聞いてもお互い盛大に勘違いしている。ウツシは漏れ出た本音への返答だと思い込んでいるし、少女は酔っ払いの介抱に関してだと思っている。お互い近いからこそ起きた確認の不備が、今ここでとんでもなく捻じれてしまっているのだ。
    「言っておくけど、ウツシ教官が好きって言った事に対しては?」
    「え、あれって弟子としてですよね」
    「……」
     弟子だからと言って、あそこまで普通に可愛がらない。アヤメも自身の教官や先輩ハンターに指導を受けたことはあるが、あそこまではない。その事をアヤメはぶつけてみたのだが、少女はどこ吹く風である。
    「まぁ、教官はスキンシップ激しいですけど、お嫁さんとか彼女さんじゃないですし、むしろいたら私は失礼にあたります」
     その言葉に、アヤメは「少女の初恋はウツシだった」というヒノエの情報を思い出した。だった、という事は恐らくあれは幼少期の思い出として綺麗な記憶に昇華しているのだろう。
    「ねえ」
    「はい」
     焼き鳥をもぐもぐと食べている少女に、アヤメは痛む頭を押さえて忠告した。

    「アンタ、ちゃんとウツシ教官と話したほうがいいよ」

     彼女を作らないんですか。なんて聞いた日には、雷狼竜が何をしでかすかわかったものではない。

     そんな忠告をアヤメから聞いて、とりあえず少女は一つ頷いた。いつ付き合っているなんて噂になったのか分からないのだが、少女はウツシが好きか嫌いかでいえば好きである。友愛なのか、親愛なのかはたまた恋愛なのか。長く共にいすぎてそれが何なのかわからないのだが……。初恋という感情はとっくになくなっている。けれど共にいて暖かい気持ちになるし、ウツシにいい人がいれば素直に祝福するつもり満々だ。
     だから、少女はその事実を確かめなければならない。

    「アヤメさん」
    「ん?」
    「ありがとうございます。お話してみます」
    「うん」
     注がれた酒をぐいっと飲み干すと、少女はアヤメにいくらかお金を渡し席から立ち上がる。善は急げとばかりに集会所から出ていく少女を見て、アヤメは止めるべきかと一瞬思案し――やめることにした。
    「まぁ、ウツシ教官だから悪いようにしないでしょう」

     何しろ、目に入れてもいたくない大事な愛弟子なのだから。

     ――生まれた時から番認定している男だぞ、アレは……。

     そう彼と長い付き合いであるヒバサから聞いたのだ。たぶん酷い事にはならない……はずだ。

    「……監禁とか、ないよね」

     人それをフラグというのだが、アヤメの独り言は夜空に溶けて消えていった。


     少女は武具を自宅に置いて、ふらりとウツシの家へと向かう。仕事が忙しいのであればまた改めればいいと、彼の家の戸を叩く。すると暫くしてからウツシの声が聞こえて来た。
    「私です」
     天岩戸よろしく閉じられた戸の向こうで少女が名乗れば、慌てた様子でバタバタと大きく音を立てて、がらりと戸が開かれた。いつもの狩装束ではく、ゆったりとした黒い着流しに身を包んだウツシは、少し疲れた様子でこちらを見ている。
    「ごめんなさい、お邪魔でした……よね」
    「ううん、君ならいつでも大歓迎だよ! それで、どうしたの?」
    「あ、えーっと……」
     急ぎでないから大丈夫です。と言おうとすれば、ウツシは身体を逸らして中へと案内してくる。どうやら中で話さないかという意図らしい。こくりと頷いて中に入れば、書類で散らかっているもののいつものウツシの家だった。ふと文机を見ると、小さい箱のようなものが置いてある。

     ――なんだろう、あれ。

     誰かにプレゼントするものなのだろうか。と考えていればウツシはわざわざ茶を淹れてくれたらしく、盆に湯呑を乗せて持ってきてくれた。

    「それで、どうかしたの? 何かあったのかい?」
    「あー……」

     深刻な悩みだと思ったのだろう。ウツシは真剣な顔でこちらを見ている。書類仕事をほっぽって優先してくれた手前、アヤメに指摘された事を言ってもいいのかと一瞬悩んでしまう。けれど、言わないでお互いよくわからない延長線上にいるのは、少女としても避けたいところだ。

    「教官」
    「なんだい?」

     だから少女は口を開く。それが引き金になる事を理解しながら。

    「私と教官って、付き合っていませんよね」
    「――――へ?」

     ここで付き合ってないよ、と返答があればそれで終わりだった。けれどウツシから漏れた言葉は、否言葉というよりも呆けた声というのが正しい。何を言っているかわからないというような顔で少女を見つめ、目の前の男は口を開く。
    「愛弟子、俺と君とが付き合っていないって……」
    「いや、アヤメさんに指摘を受けて初めて知ったんですが、なんで私とウツシ教官が付き合っている事になっているのかと……
      仮に、教官に意中の方がいらっしゃれば、私は不誠実に値するので、できればスキンシップは減らしてほしいと――」

     少女の声は最後まで紡げなかった。ウツシが少女の肩を掴んだからだ。
    「いたっ」
    「愛弟子!! 待って! 見捨てないで!!」
    「はい?」
     思わず少女が呻けば、ウツシは夜中にも関わらず声を荒げる。見捨てないでとはどういう事なのか。まさか本当に浮気(この場合は少女は浮気相手になるのか)でもしているのだろうか。
    「きょ、教官まさか本当に意中の方が!?」
    「俺は君だけだってば!!」
     そんな事を少女が呟けば、ウツシは涙目でいやいやと首を横に振る。どうにも誤解をしているらしくウツシは別れたくない!と叫んでいるではないか。
    「教官、あの……」
    「やだ! 俺は絶対に別れない」
    「いや、そもそもですね」

     私、教官に告白されていないのですよ。

    「――――あ…………」

     少女がそう言うと、ウツシはそういえばというような表情をした後、さっと青ざめた。

    「ごめん、俺……」
    「まぁ、そんな事だろうなと……」
     だからアヤメに言われた時疑問だったのである。どうして付き合っているなんて話になっているのか。結局のところお互い大丈夫だろうと思った結果だったのだ。

    「愛弟子」
    「はい」
    「好きだよ」
     ウツシは苦笑しながら少女に呟く。

    「はい。私もです」
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