「やはり私の隣に立つのは君しかいないか、ヒューベルト!」
眩い笑顔で振り返る男に思わず目を細める。
この想いに気付いたのはもう何節前の事だろうか。俗に言う恋心などというものが己の中に存在するとは思ってもみなかったが、最近頻繁に向けられるようになった笑顔や不意に体が触れ合う度に高鳴る胸に、彼への想いを嫌という程自覚させられ、認めざるを得なくなってしまった。
向こうも以前よりはこちらの事を好ましく感じているようだが、それが仲間として、友人としてのものである事は分かっていた。自身が抱く、浅ましい願望とは違うものであると。…温かく力強い手にもっと触れられたい、戦場で見せる射抜くような視線に貫かれたいなど。叶うはずもないのだ。
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