下手なことは訊かない方がいいんだろうなと思いながら、礼音はベッドの隣に敷いた布団で寝る二条を見た。いつも必ずこっちには背を向けて寝るから、礼音は二条弟がどんな顔で寝ているのか、ちゃんと眠れているのかも、知らないでいる。
(かと言ってこっち向けよって言うのも変な話だしな)
顔を見たいのかといえば、別にそういうわけではない。ただ、毎日礼音が目を覚ました時には既に起きているし、捕まえたタイミングがタイミングなだけに、少し心配にはどうしたってなった。
(賢汰さんの話でも、特に寝不足ってわけではないみたいだけど)
自分よりも早起きで洗面所で毎朝顔を合わせるという賢汰がそう言うのだから、そうなのだろうと思う。
(でもきっと、気は休まってないよな)
少しも上下しない肩を見ながら、礼音は短く息を吐いた。