わるいこ、ふたりガレキの山が積み重なった捨てられた地に立つ立ち入り禁止の看板を見向きもせずズカズカ入ってく首席。
次席が思わず「待ちなさいフロイト、そこは___」と声をかけるが、「ここか?そうだな、ここはいっとう景色がいいんだ」と軽くいなしなおも歩みを止めない。
何を言っても聞かないと判断した次席はもし貴方の身に何かあったら私が責任を取るんです、だのまったくこれだから、だのブツブツ文句を垂れながらもついてゆく。
建物や機体だったそれをざりざりと踏みつけながら小高い山のてっぺんへと足をかけた途端、くるりとこちらを振り向き、
「僕もお前もとっくのとうによいこなんかじゃないだろ」違うか?とまっすぐに見つめてくる首席。
仕草はまるで幼い少年のようだが、覗き込む瞳とどこか含みをもたせた問いに仄暗い何かを感じる。その様子に少し驚きつつも、これがやはり首席たりうるものなのかもしれないとふいに口角が上がる。
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