「ん」
頬に水滴が落ちる。
見上げると、つい数時間前までは真っ青だった空は灰色に変わっていて、雲の隙間からぽつぽつと水が零れ落ちていた。
「わっ、雨だ」
洗濯物を取り込もうとするタイミングで助かった。
お日様を浴びてすっかり乾いた洗濯物をベランダから家の中に放り込む。
すべて取り込んでベランダの窓を閉めたときには、雨粒が窓を叩く音で家中が包まれていた。
「すっごい降ってる……通り雨だといいけど」
ふいとリビングにかかっている時計に目をやる。
もうあと数十分もすれば、愛する旦那様の定時時間だ。
朝のニュースで今日は一日晴れると言っていたから傘は持っていっていないはず。
普段の彼なら折りたたみ傘を持っていっているのだけど……タイミング悪く先日壊れてしまって捨てたばかり。
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