マーメイドと夏の雪暗くなった道を急いで戻る。
日が長くなったとはいえ遅くなりすぎた。
先の曲がり角から街灯の光が漏れている。
明るい道を歩きたいと気が逸り飛び出したそこには思わぬ先客がいた。
その子が身に纏っているのは自分と同じ高校の制服の筈なのに、異空間に踏み込んでしまったかのような錯覚がした。
風がふわりと彼女の長い髪をもてあそぶ。
煌々と照らされた白い肌と黒髪のコントラストにドキリとした。
腰程まであるストレートな黒髪に、丈の長いスカートのセーラー服がとてもよく似合っている。
毎日見ている極一般的な白と紺の制服が、まるでお嬢様学校の制服のように見えた。
ヤマトナデシコってこんな感じなのかな。
こんな時間にこんな所を、女の子が一人で歩いているなんて。
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