Pinky 「そうすると、大学出てから数年は実家に帰っていないのか。親不孝じゃないか、ラーハルト」
「顔は見せてる。別に親と問題がある訳じゃない」
ラーハルトはダイエットコーラを飲み干そうとして、少しむせた。
「だったらなぜ?」ヒュンケルが小首を傾げる。
「なんだろうな。なんとなく。田舎だし。こっちの空気があってるんだ」
お前にも出会えたし、と、心の中だけで呟く。
ヒュンケルと恋仲になってもう数年。暗雲立ち込めていた人生が晴れ上がり、頭痛が消え、仕事も順調になってきた。彼と話しているだけで、全てが巧く行く気がするのだ。
しかし、そんな愛の言葉は隠してほくそ笑む。ヒュンケルを付け上がらせるわけにはいかない。
「それ、」
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