辛くも逃走、成功 なんでや。
柴の脳内は句読点込みの五字で埋め尽くされた。
妖刀を巡る毘灼との戦いは幕を下ろした。戦後処理は半年以上かかったが斉天戦争はそれ以上の時間を要したわけであるし、当然と癒えば当然だろう。
事の起こりは五分前。
チヒロの復讐も終わり彼を含む少年達がやっと戦いのない日常に馴染み始めてほんの少し経ったある日、柴はいつか伯理に妖術の解説をした公園で一服しているとチヒロがやってきた。
伯理はヒナオのお使いでおらず、シャルは学校にいる時間。当たり前のはずなのに、二人きりになるのがとても懐かしく思えた。
「こうやって話すんのも久しぶりやなぁ」
「最近は忙しかったですから」
ブランコを囲む柵に腰掛ける。チヒロの膝くらいの高さしかないので柴にとってはしゃがみこむような体勢になるが、その程度で足腰を痛めるほど弱くはない。
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