ドタデレラ① むかしむかしあるところに、ドタデレラというむすめがいました。
ドタデレラはとてもかわいらしいおんなのこでした。
ドタデレラはゆうふくなおうちのむすめでしたが、いじわるなままははとふたりのおねえさんにいじめられて、いつもぼろぼろのふくをきていました。
「おい、ドタデレラ!おれのふくはどうした!」
あねのフレイザーこがボウボウとからだのはんぶんをもやし、そのはんぶんをガチガチにこおらせながらさけぶと、ドタデレラはあたまをさげてあやまりました。
「すみません、おねえさま。いまアイロンをかけています」
「はやくしろよ。のろまが」
「はい」
あたまをぺこりとさげてアイロンをかけていると、もうひとりのあねのミスこがだまってたっています。
「…………………」
「おねえさま、おはなししてくださらないとわかりません」
ドタデレラがこまったようにいうと、ミスこはためいきをついてテーブルにつきました。たぶん、おなかがすいたのでしょう。
「ドタデレラよ。わしらのちょうしょくはまだなのか!」
ドタデレラがアイロンをかけおえたふくをフレイザーこにわたしたあと、ちょうしょくのじゅんびをしていたら、ままははのザボみがかいだんからおりてそういいました。
「おはようございます。おかあさま。もうしばらくおまちください」
「まったく……おまえはのろまなやつだ。ちょうしょくもろくにつくれんとはのう」
「もうしわけございません」
ドタデレラはあたまをさげていそいでちょうしょくをつくりました。
ちょうしょくのあとはかたづけをして、おそうじをして、せんたく、そしてちゅうしょくのじゅんび……と、ドタデレラはいつもおおいそがしです。
「ふぅ………」
ドタデレラはやすむひまもありません。
おひるになり、ちゅうしょくのじゅんびができました。ドタデレラがつくるごはんはいつもおいしそうです。
おひるごはんを、ままははとあねふたりがたのしそうにはなしながらたべていますが、ドタデレラはいっしょにたべることができません。いつも、ままははとあねがたべおわったあとに、ひとりでやねうらべやでたべるのでした。
このやねうらべやは、ままははがあたえたへやです。ドタデレラのへやはあねにあたえられてしまいました。
まいにちそんなせいかつをしていたドタデレラですが、ふまんなどはいえません。ままははとあねのいうことをきかないといえをおいだされてしまうからです。
ははおやはドタデレラがちいさいころにびょうきでしんでしまい、ちちおやはじこでしんでしまいました。
「おとうさま、おかあさま……どうして、しんでしまったの……?」
あるよる、ドタデレラはかなしくつぶやいて、ちいさなタンスのひきだしをあけます。そこにはかわいらしいどたまがはいってました。
このどたまはドタデレラがちいさいときにりょうしんからかってもらっただいじなどたまです。
「おとうさま、おかあさま……」
ドタデレラはそのどたまをぎゅっとだきしめてねむりにつきました。