引っ越しというのは大変だ。あれやこれやと手続きをして、荷造りをして。元々わたしは不器用で面倒くさがりなのだ。だから数年前にトレセン学園に配属が決まって、トレーナー寮に入ることになった時は、私物をほとんど持たずに引っ越してきたのだ。
でも今回はそうもいかなかった。思い出がたくさんあって、捨てたくないものばかりだったから。段ボール箱がぎゅうぎゅうになるまで詰めて、新居に搬入が終わった今現在、その量に自分で驚いている。
「る、ルドルフ……」
我ながら情けない声で呼び掛けると、奥の部屋で荷ほどきをしていたシンボリルドルフがひょこっと顔をのぞかせた。
「中々大荷物だね。テイオーとのものが多いのかな」
「う、うん。捨てられなくて……」
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