いつかのお題のかきかけ意図せず漏れた溜息に、傍らのその人が顔を上げた。
やべっ、と思ったがもう遅い。
顔を見ればわかる。
言い訳不可能なくらいしっかり耳に届いてる。
感情が溢れてどうにもならなくなった、重苦しいため息。
ζ(゚ー゚*ζ「どしたのどっくん。」
ほんの一瞬の間を置いて、彼女はそう尋ねてきた。
絶妙な間だ。
この間は、ため息の理由聞こうかどうしようか、聞いたら悪いかな、ううん…
というものではなく、俺の「やべぇ聞かれちまった」を見透かした上で、
ほんの一呼吸、今から声かけるよ?の準備を促す確認の間だ。
('A`)「いや…。」
そういった気遣いを受けたというのに、俺は結局歯切れの悪い返事をする。
俺は彼女に弱いところを見せるのが苦手だ。
人に何かを相談したりすることも苦手だ。
自分が全然たいしたことのない、見てくれ通りの中身をしてることなんて彼女もわかってる。
とっくにわかってる。
それでも、俺には人に迷惑をかける勇気が不足している。
負の感情の端っこを、誰かに支えてもらうという度胸がなかった。
そんな小さなことでって、呆れられたらどうしよう。
いや、彼女がそんなことを思わないってこともよく知ってる。
どうにもならないことを、どうしたらいいだろうって一生懸命考えてくれる子だってわかってる。
負担をかけたくない。
俺みたいなやつのために頑張って欲しくなかった。
ζ(゚ー゚*ζ「どっくんまたつまんないこと考えてるでしょ。」
彼女は鋭い。
いやそれとも、俺がワンパターンすぎるだけか。
何度も繰り返してしまう。
彼女が全て見透かしてしまうほどに。
パターンを把握してしまうほどに。
('A`)「…ごめん。」
ああ、言うに事欠いて謝罪。
最悪だ。
暗いモヤが心の内から滲み出て、全身を覆い尽くしていく。
頭が重くなる。
顔を伏せたい。
俯きたい。
ζ(゚ー゚*ζ「ぷっ」