失恋アレルギー鼻水が止まらない。
あいつに振られた日から。
鼻をかみすぎて、鼻の下がひりひりして
辛いから鼻セレブを買った。
こんな高いティッシュ、買いたくなかった。
不意に涙が出たりもして、昨日なんか危うく事故るところだ。
つい目に入ったんだ、よく待ち合わせた公園のベンチ。
目が水っぽくなって、視界が滲んで。
足元の段差に左足が落ちて、車道にずっこけた。
車が来てなくて良かった。
「もう、あなたに恋してないみたい。」
他人事みたいに放ったその言葉が、耳に刺さったまま抜けない。
「ごめんね。」
申し訳なさそうに、困った顔で、俺の目を見つめた。
あの真っ直ぐな瞳が、目に焼き付いて消えない。
胸が痛い。
胸って本当に痛くなるんだ。
あいつに一人で恋してた時も、そういえばこんな感じだったっけ。
すっかり忘れてたな。
また俺は、あいつに一人で恋をしているんだ。
付き合う前は、片思いの恋で完結していたのに。
ただ元に戻っただけなのに、今は欠けてるんだ。
失った恋が、千切れた場所がじりじり痛む。
「元気出せよ。」
お土産にと、コンビニの袋を差し出す友人。
中には鼻セレブと、冷めた焼き鳥と、ぬるい缶ビール。
俺は鼻水をすすって、久々に少し笑った。