On someone's handエゴイスティックに踊れたのだとしたら、私はこんな偽物の笑顔など知らなかったのだろうか。
仮面は大衆に向けられたハリボテで、ポーズは獣のように大きく見せるための虚勢。
腕を広げると、自分の身長と同じだけ横にも広がる存在感。
リズムに乗ればフロアは揺れる。
熱狂の渦は何もかも飲み込んでいく。
ノれないヤツもノるしか出来ない奴ヤツも、全てが一枚絵のように押し込められる。
揃った手拍子は汚い音楽を彩って、まるでそこに調和があるかのように振る舞わせる。
ここはそんな場所。
くだらなくて、色に溢れて、音に沈んで。
出来合いの感情に身を任せれば偽物が本物になる。
本物のような偽物になる。
金メッキも剥がれなければ誰にも気づかれない。
私はこの場所を掌握する指揮者。
私に支配されているようでいて、私は望まれた振る舞いをしているだけ。
エゴなど持たないのだ。
持てないということだ。
タクトを持たされた日から、怒りも悲しみも腹の奥に押し込めた。
だからお前らも振る舞えば良い、誰かの望むままに。
我々はエゴに従う奴隷。
誰かのエゴが、本当のダンスを奪ったのだから。
BGM:mudy on the 昨晩/エゴ・ダンス