アミットと金平糖 今日の占い学の授業が楽しみ。
なぜかって?
紅茶に合いそうな物を持参してきたからだ。
先生にも許可いただけたから、もう内心ウキウキだ。
「おはよう!」
元気よく挨拶をしてくれたのは、友達のアミット君だ。
彼とは占い学のペア相手である。
私の占い学の成績が悪いため、こうやって補助をしてくれている。
彼は賢く友達思いで優しい良い友達だ。
「……おはよう」
「今日はどうしたの?何かいい事があった?」
私は待ってましたと言わんばかりに、隣に座る彼に今日持ってきた菓子入り缶の中身を見せる。
それは『金平糖』っていう日本の砂糖菓子キャンディーだ。
私がここホグワーツ魔法学校に来る前、日本の薩摩魔法学校で出会って衝撃を受けた日本菓子だ。
これは絶対に紅茶に合うと確信している。
「うわぁっっ!何ていうのこれ?!一つ一つがお星様みたいで綺麗だね!!」
「……金平糖っていう日本菓子なの」
「ええっ?!お菓子?!こんなに綺麗なのに?!」
そう驚いている彼の手に数粒乗せてあげる。
「うわぁ……お星様が掌に落ちてきたみたい……」
彼は大層感動していた。
私だって、初めて見た時は息を飲むほど美しいと思った。
「……食べてみて」
「え?!勿体無い――っんぐ!」
そう言って勿体振る彼の口の中に、私は半ば強引に放り込んでやる。
「……甘い。お星様ってこんなに甘いんだ……本に書かなきゃ……」
目を若干潤ませてそう呟くアミット君。
ちょっと大袈裟かなって思う。
だけどアミット君。
まだまだこれは序の口。
「これをね……まず最初に入れるの……」
私は授業で使用するコップの中に先程の金平糖を入れる。
アミットは金平糖を噛み砕く事なく、口に頬張りながら私の作業を見届けている。
「……そして」
次に、コップの中にいい香りがする紅茶を注いだ。
フワッと紅茶のいい香りに包まれる。
「……うわぁっ!!お星様が……浮かんでる!!」
コップの中では金平糖が浮かんでいる。
そう、これを彼に見せたかったのだ。
これを発見した私は見事だと思う。
日本で茶道を習っている時、金平糖が美味しくてつい爆食いしていた拍子に、抹茶茶碗にポロっと入ってしまったことがあるのだ。
その時、綺麗だと思った。
「……林檎味の金平糖もあるの」
よかったらどうぞ……と私は彼のコップの中に林檎味の金平糖を入れてあげる。
彼はゴクリと生唾を飲み込むと、ゆっくりと上品に紅茶を注ぐ。
するとあたり一面に林檎の香りがフワッと香りだす。
「……林檎のいい香りだね」
私は肯定の意味を込めてニコリと彼に微笑む。
そして彼は恐る恐るコップに手を伸ばし、紅茶を一口含んだ。
「……!!!美味しい!!林檎が口の中にフワッときて、それで!!――」
物凄く感動した彼は、いつも通りのノンストップでどこがどう感動したかを事細かく伝えてくれた。
彼も気に入ってくれて何よりだ。