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    ねずちゅー

    @nezutyuuusan

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    ねずちゅー

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    キース君と自転♂が双子の自転♀とポピーを救出しに行くお話。
    自転♂視点
    戦闘シーンにグロ注意!!

    kscさんとこのキース君と自転♂の救出劇 スリザリン寮の談話室暖炉前。

    「こんばんはキース。今日の夜はいつにも増して寒いよなー」

     俺が声をかけるとキースが気付いた。

    「お隣に座っても?」

     キースはウンと首を縦に頷き、そのままゴロンと持参した毛布に包まる。
     気持ちよさそうに暖炉の前でぬくぬくしている。
     
     俺はクッションをかき集めて椅子のようにし、その上に座った。

     カキカキ。
     キースと俺だけの2人の空間に、俺の執筆する音だけが鳴り響く。
     だが、そんな幸せな時間もすぐに終わりを迎える。

     
    「…………」
     
     バキッ。
     俺は無意識に羽ペンをへし折った。

    「ハッ……ハハハハッ。マジかよ」

    キースが俺の異変を察知したのか、毛布から出てきて俺の背中をさすってくる。
     だが、今の俺は君を構ってられるほど心に余裕がない。

    「………クソッ…………はぁ」

     俺は自身の髪型を片手でグシャっと崩す。

    「シャルドネ?どうしたの?」

     キースは俺の様子に心配で話しかけてきた。

    「……双子から念話がきた……密猟者に捕まったんだと……ポピーと共に。シャルロットは……ルティは今檻の中だとさ」

     ふぅ……。
     俺は顔を上げ天井を見上げる。
     
    「はぁ…………ハハッ、アハハハハ!糞共、俺のルティに手ェ出すとはいい度胸じゃねぇか!殺す……いや、まずは後悔するよう思い知らせ――」

     急にキースが私を抱きしめてきた。
     フワッとユリのいい香りがする。
     俺は彼の急な行動に驚いていると、彼は続けざまに軽くトントンと叩いてくる。
     心臓のリズムに合わせて。
     まるで寝付けない子をあやすように。
     
    「……ありがとう、ちょっと落ち着いた」

     俺はキースから離れる。
     温もりが離れたことによりキースは少し残念そうだった。

    「……はぁ」
     
     なんでウチの姉は夜に遊びに行くんだ……。
     フラフラと……。

    (そこは双子の俺と似ないでくれよ……)

     昼寝ばっかするから夜、目が冴えてるんだろうなぁ。
     ルティは授業中でも食べるか寝るかだもんな。
     ……まぁ、そこが可愛いのだが。

    「さて……と、行くか」

     俺はクッションから立ち上がる。

    「僕も行くよ」

     キースもその場から立ち上がった。
     
    「お?それは頼もしいな」

    「桃も呼ぶ?」

     そう言うと、キースはコテンと首を傾けた。

    「ふっ。この時間帯だぞ?桃悟は寝ているだろ」

     今頃、彼はドリームランドに行ってるさ。

    「……んじゃ、アリシアは?起きてるんじゃない?」

     キースは女子寮を指差した。

    「おいおい、妹を溺愛するディーに長々と説教されたくないよ。無理に巻き込む必要はないさ」

     ディーが怖いぐらいの笑顔で理由を突き詰めてくるのは目に見えて分かる。

     
    「さて!騎士ナイトとして私の姫様を救出しに行こうか」


     
    ――――


     
    「シャルロットが捕まるぐらいだ……獲物は多いとは思ったが……ここまでとは」

     俺らは奴らの根城を上から見物している。
     
     ルティがいないから、少々考えないとな……。
     俺は姉ほどステルス技術はない。
     だが、時間がかかりすぎるのは……あまりよろしくない。

    「こういうときは……そうだ、けしかけるのが1番だ。キース、ちょっとここで待っといてくれ」

    「うん」

     キースは草の茂みに隠れられるよう体を縮こませた。

     俺は箒に乗り、移動する。

    「……おぉいたいた。おい!こっち見ろ!」

     ようやく見つけた。
     俺は臭くて図体がデカい生き物めがけて魔法でつつく。

    「ちょいとやってほしいことがある。ほらほら、こっちだこっち」

    「ヴガァ!!」

     元気だねー。
     そうでなくっちゃな。

    「な、なんだ?!トロール!」

    「くそ!なんでこんなところに!!」

     蟻共も俺のプレゼントに喜んでいるようだ。
     俺はキースがいる場所に着地する。

    「キース、今のうちだ。行こう」

     俺はキースに手を差し出した。

     
    ――――

     
    [[ペトリフィカス・トタルス]]

     呪文をモロにくらった男らは石クズのように床に転がる。
     そいつらのポケットには彼女らの杖が入っていた。
     俺は杖を奪い取る。
     
    「キースナイス!君がいてとても助かるよ」

     えへへっ。
     キースは嬉しそうに微笑む。
     褒められたのが嬉しかったのだろう。

     ギィー。
     俺は徐にドアを開ける。

    「やぁ、お二人ともこんばんは。ちょっとは反省したかい?」

     ポピーが俺らに気付く。

    「あ!シャルドネ来てくれたの!!それにキースまで!」

     キースは俺の後ろからひょいっと顔を出し、彼女らに手をフリフリと振っている。

    「……ごめん」

     シャルロットが静かに呟く。
     
    「いいさ。何か理由があったんだろ?」

     この檻なら、竜になって破壊できたはずだ。
     てか、そもそも姉が捕まるなんて珍しい。
     
    「えっと……シャルドネ……実は私がお願いしたんだ」

     ポピーが気まずそうに言う。

    「ほら、あそこの檻を見て」

     ポピーが指差す檻の中には1匹のユニコーンの赤子が横たわっていた。 
     あ……なるほど……人質か。
     ルティがここで竜化したら、アイツを押し潰しちゃうかと思ったんだな。

     ……2人とも、優しすぎる。

    「そもそも、私がここに一緒に来てってシャルロットに言ったの。だから彼女は悪くない」

    「理由はだいたい理解した。だが、お説教は別だ。後で2人とも覚悟しとくように」

     俺は魔法で檻についた鍵を開ける。

    「ほら、2人の杖だ」

     俺は2人に先程男らから奪い取った杖を2人に返す。
     
     ……2人とも、そんなにしょぼくれても無駄だ。
     姉なんて、俺にウルウルと涙を潤してこっちを見てくる。
     ったく、始めから俺に相談しとければよかったものの……。

    「怖かったねー」
     
     キースはそんな2人をよしよしと撫でていた。

    「……で?これからアイツらをどう料理する?お二人が当事者なのだから、意見を聞かせてくれ。何がしたい?」

     俺は2人に問う。

    「……私はこれ以上被害を受ける子を見たくない……二度と密猟できないようにしてほしい」

    「おお!いいねポピー!!」
     
     俺はポピーにパチパチと拍手を送る。
     姉も同じ意見なのか頷いていた。
     姉の表情をじっと観察してみる。
     
     こりゃ相当お怒りのご様子だ。
     
     
    「じゃあ、彼らと遊ぼうじゃないか。皆、ちょいと耳を貸してくれ」



    ――――

     

    [[[エクスペリアームス]]]

    「な、なんだ?!」

     俺らが放った呪文により、見事に男らの杖が俺の足元まで吹き飛んだ。
     
    「おお!蟻共のくせにして、トロールを追い払うとは!おかげで、これからのショーがスムーズにことが進むよ。感謝する」

    「貴様ら、いつの間に――うわっ!」
     
     俺は魔法で炎を操り、彼らの周りをグルッと囲むようにする。
     これでフィールドの完成だ。
     
    「ゲームをしよう」

     男らは一斉にこちらを見る。
     トロールで生き残ったのは……ざっと5人程度か。
     ……余裕だな。

    「ルールは簡単。杖なしで勝負だ。安心しろ。私は手を出さないでやる」

     シャルロットは驚いた顔で俺の顔を見て、はぁっと溜息をついた。
     ごめんよルティ。
     打ち合わせにないことだもんな。
     弟の我儘に付き合ってくれ。
     
    「な、なんでマグルのような」

    「さすがに剣なしは可哀想だからな」
     
     俺は出現呪文で剣を出し、男らの近くにガラガラと落とす。

    「ほら剣を構えろよ。さもなくば死ぬぞ?それとも早く死にたいのか?もしそうなら……オススメは動かないことだ。痛みなく一振りで逝くさ。簡単だろ?貴方らはただ待てばいい。自分の時間が尽きるのを」

     姉が火の輪に入る瞬間、俺は杖で姉が入れるスペースを開けてあげた。
     姉は剣をどれにしようか悩んでいる。
     いつものお気に入りの刀ではなく、他のを選ぶつもりみたいだ。
     余裕だからなのか、屑どもと遊ぶ気のようだ。
     
    「ルティは慈悲深い。戦意を喪失したやつには。な?優しいだろ?」

     姉が剣を構える。
     その姿は暗殺者のよう。
     
     二刀流……にしては左右の剣の長さが違う。
     これは……姉曰く、防御は弱い代わりに攻めが強いコンビ……というやつだな。

    「……やるの?やらないの?」
     
    「……くそ!なんで俺らがこんなことに!!」
    「相手はほんの子供だ!それに女だぞ!俺らにかなうもんか」
    「ガキ共め、調子に乗りやがって」
    「おい、顔を斬るなよ。賞品にならなくなるからな。キズモノは安いんだ」
     
     ……そんなに死にたいのか貴様ら。

     俺は男らに向かって魔法を放とうとする。
     だがその瞬間、シャルロットが俺の方を向いて視線があった。
     そして安心しろと言わんばかりにニコリと微笑んだ。

    (……はぁ、分かったよ)
     
     俺は杖を下げる。
     
     ……ったく、俺はなんだかんだ言って姉に弱い。

     姉は男らに視線を戻すと、スゥーッと瞳が縦に細くなった。
     姉の空気がガラリと変わる。
     戦闘ショーの開幕だ。

     姉が長剣で一振りする。
     ガチャン。
     剣が地面に落ちる音が響き渡る。
     手首ごと剣を落とした。

    「ぅうああああ!!」

     1人目の獲物が痛みで泣き叫び、地面に転げ回る。
     実に滑稽だ。

    「見ちゃだーめ」

     キースは手でポピーの目に蓋をし、視線を遮っていた。
     だが、ポピーは嬉しそうにヤレー!と応援していた。
     俺もポピーと同じように、キースの視線を手で遮ってやった。

    「…………」
     
     グサッ。
     姉が1人目の首を刺した。
     刺した瞬間、姉は返り血を浴びる。
     1人目。

    「……うわっ、あぁ、あああああ!!!」

     2人目の獲物が錯乱状態に陥る。
     獲物は無我夢中で剣を振り下ろす。

     そんな上段から振り下ろすと……お腹がガラ空きだぞ?

     グサッ。
     姉は短い方の剣で腹を刺す。

     ほら、言わんこっちゃない。

    「ぐぁ、っんぐ!!」
     
     姉は獲物の腹に刺さったままの短剣を、グルッと無理矢理ひねった。
     悶え苦しむ姿をしばらく眺めた姉は、短剣をスッと抜き出しクルリとその場で一回転する。
     回転をした反動で獲物の首を長剣で斬り離す。
     ドサッ。
     胴体が地面に落ちる音がする。
     これで2人目。

    「こ、この野郎!!」

     残り3名の獲物が一斉に雄叫びをあげながら姉に襲いかかってくる。

     姉は決してそんなんで怯えたりはしない。
     
     姉は獲物めがけて走り出す。
     そして短剣を地面にグサッと刺して、短剣を軸にグルリとその場で一回転する。
     
    「「「うっ、あああ!!」」」

     獲物らの脚が長剣で斬られた。
     獲物らが地面でのた打ち回る。

     グサッ。
     姉が喉仏めがけて刺す。
     獲物が息絶える。
     3人目。

    「た……助けてくれ……」

     4人目の獲物が慈悲を乞う。
     姉はニコリと微笑む。
     ドサッ。
     首を斬り離した。
     痛みがないように斬ったのだろう。
     なんてルティは優しいんだ。
     4人目。

     姉は最後の獲物の前に立つ。

    「こ、殺さないでくれ!俺が悪かった!許してくれ!なんでもする!」

     獲物は無我夢中で姉に許しを乞う。
     獲物が姉の足を触ろうと必死だ。

     助かると思っているのか?
     この機に及んで。
     
    「……もう遅い」

     ァアアアア。
     姉は断末魔を聞きながら長剣を振り下ろした。
     5人目。

     
     
    「お疲れ様」

     俺は一旦フィールドを囲っていた炎を鎮火させる。
     そして、シャルロットに付いた返り血を綺麗に魔法で消し去った。

     ……桃悟やディー兄妹、それにライラックにバレたら心配かけさせてしまうからな。

    「遺体処理は任せてくれ」

     俺は消失呪文をかけ、そこにあった遺体は跡形もなく消し去る。
     


    「……ふーん」

     キースは遺体が先程まであった場所の地面をしゃがんで眺めていた。

    「?どうした?」

     キースは俺の方にクルリと振り返った。
     そしてニコリと微笑む。

    「君達は長生きしてね」

     そう言って、キースは俺の頭を優しくなでる。
     願いを込めるように。

     ……微笑む前の一瞬、表情がまるで無かった。
     俺たちが亡くなることを想像したのか?
     それにしては……少々防衛本能効きすぎじゃないか?
     死に対して興味がない……何も感じない……。
     まぁ……でも納得できる気がするよ。
     俺も……似たようなもんだ。
     情を持たないように心を解離する。

     だが……俺だからいいのであって。
     友達がそうなっているのは……少々危なっかしい。

     そんな友達の一面に気付いた俺は心の中で決意する。

    (長生きしてやらんとな)
     
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