ka_name02REHABILI雰囲気ジェイアズ。ポエムもどきの掌編。僕の体液には毒がある。軽い痺れをもたらすものから、ひと刹那で命を奪うものまで。僕の気分の匙加減ひとつ。それなのに……。「何故お前はそんなに物欲しそうな顔をするのでしょうね、ジェイド」慈悲を求めて跪くウツボの顎を指で掬って上げさせれば、常と変わらぬ完璧過ぎる微笑があるのみ。「あなたが与えてくださるものならば、すべてが甘美な悦楽だからですよ。アズール」人類最初の雌を唆した蛇の如く囁いて、ジェイドは口を開いた。かぱり、と。まるで求愛の所作のようだと思いながら、アズールも唇から舌を覗かせる。たっぷりと唾液ののった舌を。陸の重力に引かれるまま、ゆっくりとアズールの毒の含まれた体液が落ちていく。ジェイドのなかに。海の魔女めいた慈悲深きタコの人魚を恋うた、愛執のウツボの人魚。果たして、その運命は……。知るは、アズールとジェイドだけ。 372 1