命であることを疎み、不随意筋を忌みながら、彼は空っぽを選んだ。
重度の知的障害だと見なされていた。言葉を一切話さず、自閉症状、夜間に覚醒する睡眠障害、過呼吸と無呼吸を交互に繰り返す呼吸障害、小さく冷たい手足。
だが、そのすべてを彼が選び取っていることが、私には分かっていた。
幼い箱に収められた六翼の精神。それが計算する。
己の現状を。なぜ生き、死んでもふたたび生み出されるかを。どうあれば、世界に対して、私に対して、加害的であるかを。
チェック、エラー。チェック、エラー。
保守機能を走らせては有効にするまでもないと、ふたたび命のスープの中へかたちを成さずに沈む。
そういうことを数限りなく繰り返した。
1311