「あ、あがっ・・・あ、あ・・・」
一瞬、何が起きたのか分からなかったが突然麻人が痙攣し泡を吹いて倒れ、部屋中を埋め尽くしていた穢れがなくなっていた。
「あーあ、来ちまったか」
「来たって何がだ?」
「あいつだよ」
もう一人の俺が指差したのは全身黒づくめのスーツに、装飾のついたサングラスを掛け、煙管を片手に紫煙を漂わせている青年だった。倒れている麻人を近づくと、人差し指でツンツンし始めた。
「・・・気絶してるな」
「お前が来なかったら危うくこっちの俺も死にかけてたんだよ」
「まあ、麻人が『力』を使ってくれたから居場所が分かったけどね。被害は?」
「こっちの絵梨佳と凛子。絵梨佳の方は完全に入られた、今は眠らしているが」
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