祭りのあと「鍾離様……そろそろ……」
「まだ休んでいても良いだろう。お前にも休息は必要だ」
海灯祭が終わり、先日まであった璃月港の賑やかな灯りは、まるで何事もなかったかのように跡形もない。祭りのあとの静けさや寂しさなどは全く感じないが、璃月港は今日も相変わらず船の往来が多く賑わい、平穏な生活が続いているように見える。
往生堂もそれほど今は忙しくないようで、鍾離も少し空いている時間があるらしい。やっとのことで魈が望舒旅館へ戻り、敷布の上で羽を休めた次の日には、日の出と共に鍾離が望舒旅館へ来ていた。
着の身着のままで横になっていたのだが、鍾離が来るとなるとせめて湯浴みくらいは済ませておきたかった。
それを伝えると、俺がやるから良い。と静かに言われ、あっという間に鍾離の洞天へと連れて行かれた。
1957