ちねけん 知念さんは、僕のことを好きだと言ってくれる。きっかけはきっとあの試合。僕の態度が知念さんは面白くて、それが興味深かったのだろう。一方、こちらから比嘉中テニス部である知念さんへの印象はあまり良くなくて。けど、好きと言ってくれた表情と気持ちはなんだか嬉しくて。僕は、彼の手を取った。
「葵は今日もちゅらかーぎーやっさー」
「もう分かってますよ! それ、可愛いって意味ですよね!」
可愛いよりかっこいいと言われたかったはずだ。本当は女の子にキャーキャー言われてモテたかった。けれど今の自分は彼の恋人で、テニス部が全国まで行ったからと興味を持って寄ってきてくれる女の子からの誘いには、ごめん、恋人がいるからと断っている。
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