認知症ガヌヴェス1「来てやったぞ、ガヌヴェス」
病室に訪れたのは灰桜の髪をした女性のようで……男性のような方だ……
なぜ、僕の名前を知っているのだろう……
「すみません、貴方は誰ですか……」
そう言うと彼女?彼?は ぁあ、またか。という顔をし笑顔を浮かべ「ソフィア。ケラー・ドラグ・ソフィア」と俺に伝える……
ソフィア……どこかで聞いたことがある。しかし、思い出せない……
「ソフィア……さんですか、すみません……」
「いいさ、お前がこうなったのも俺のせいだし」
「……?」
「俺が相手にハンマーで頭ぶち壊されそうになった瞬間お前が庇ったんだよ。覚えてないか」
「……すみません何言ってるのか僕にはわからないです…」
「……すまん」
彼はなにか物悲しそうな顔をし謝る……
どうして……
、、
ぁあ、また彼の事が分からなくなった……
彼の顔がぼやけあまりわからない……
「……話聞いてるか?」
「すみません、、貴方はどうしてここにいるんですか……」
「…………心配で見に来たんだよ」
「僕と貴方は知らない人同士なはずなのに……」
「俺はお前の友人だよ、ガヌヴェス」
「貴方は誰ですか……」
「俺はソフィア」
「……確かに、その名前を言われてみれば……どこか……知っている……」
「安心しろ、嫌でも思い出させてやるから。俺の事」
彼はまたそういいニコッと微笑むがどこか悲しそうだ……
「そうそう、お前これ覚えてるか」
そう言われポケットから出したのはサングラスかけている肥満体型の青い鳥だ……
どこか僕と似ている…
そんなこと思っていると彼は無理やり僕の手のひらに青い鳥を置いてくる……
もふもふ……していて……触り心地が……いい……?
そんなこと思っていると青い鳥は僕の手のひらをクチバシで摘んでくる……
「いたっ……」
「こんなの日常茶飯事だぞ、コイツ。」
「いたいって…いたい…そう……なんですね……」
「ごめん……なさい…この鳥の……名前は……」
「しらん、みんなは勝手にがぬ鳥かがぬピヨって呼んでる」
「がぬ……とり……ぴよ……なんだか……よく分からないけど僕と……似てますね……」
「ぁあ、ガヌヴェスと似てるよ、」
しばらく沈黙が続いた……
話すことなんてもう何も無いのだろう……
「……あ、バリー覚えてるか?」
バリー?
「ウシャンカ帽被っててファー付きフードでどことなくソ連軍服とにてる……思い出せるか?」
「はっきりとは……思い出せないけれど……その人がすごく傲慢だけど……優しいって事は……分かります……あとは……思い出せない……許してください……ごめんなさい……」
「……悪かった」
頭がすごく痛い……この人と話していると頭が痛い……痛くて……痛くて……なにか思い出しそうで……
いつの間にか……涙が出ていた……
「……今日は少し思い出させすぎたか……すまん、俺はもう帰るよ」
「……貴方は…………誰ですか…………」
「ケラー・ドラグ・ソフィア」
彼はそういい……ここから出ていった……
残されたのは…じんまりとこちらを見る青い鳥と……僕だ……