SWEETDREAMS… 夜中。寝つけずに幾度目かの寝返りをうつ。
いつもならば酒場で出会った女や各地にいる愛人と共に夜を過ごしているのだが、様々な要因が重なりクロス・マリアンともあろう男がここ数日は独り寝だ。
体温が低く冷え症なクロスには独りのベッドは冷たくて温まりも悪い。冷えたベッドは寝つきにくく、眠りも浅くなる。
最後に見た時の時刻は午前一時過ぎ。あれから少なくとも一時間近くはこうしていつやってくるかも分からない睡魔を探すように寝返りをうち続けていた。
もう諦めて今夜も朝まで起きてしまおうか。そんなことを考えながら夜明けはまだ遠いぞと告げてくる窓の外に背を向けるようにまた寝返りをうったその時。
「寝れねぇの?」
自分ひとりだけだったはずの部屋に響く自分以外の声。こんな夜中にクロスの元に断りもなくやってくる奴なんて誰だか聞かずとも分かっている。
2258