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    silkflower17

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    silkflower17

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    ジュソ堕ち開催おめでとうございます!
    少しだけ雰囲気あやしい呪詛7️⃣×ウリをしてる🐯の現パロ小話。

    呪詛ミンとウリしてる虎の話「そろそろ終わりにしませんか」

    ことが終わったあと、いつもベッドの縁に腰掛け、俺に背を向けて煙草を吸う男が、今日はシーツにくるまったまま、俺の顔を真正面から見据えて言った。
    「なにを」
    「君の『おしごと』です」
    この関係を、と続くことを予想して身構えていた俺は、わかりやすく拍子抜けする。顔にも出ていたのか、男がわずかに目を細めた。普段から表情にとぼしい人だけれど、俺の反応を不思議に感じていることはすぐにわかった。すぐにわかるほどには、頻繁に逢瀬を重ねていたから。
    「ウリをやめろってこと?」
    男が無言で頷いた。俺は少し考えて、それから思ったまま口を開く。
    「やめて、それでどうしろっての?」
    男はもぞりと片腕を出し、俺の頬に触れてきた。くすぐったくなるほど優しい手付きが、さっきまでの行為の激しさを嘘に変えるみたいで、少しだけそわそわする。
    「私に養われてみませんか」
    目を丸くする俺に、男はいたずらが成功した子供のような笑みを浮かべた。揶揄われたのだと気付き、腹立たしさに輪郭をなぞる手を払いのける。
    「冗談じゃありません」
    自分の発言がどう捉われたか察した男は、言葉の通り、一瞬で真顔に戻って再び手を伸ばしてきた。今度は耳の形を確かめるように指を這わす。
    「……もしかして、ミウケするってやつ?」
    「よく知っていましたね、そんな言葉」
    バカにすんな、と、反射的に出た言葉も、思考を上滑りする。男の言葉を信じるなら、つまりはそういうことなのだろう。俺は借金のかたにそういう店へ売られたわけじゃないし、そもそも個人でやっている商売だから、いわゆる本物のミウケとは少し違うかもしれないけれど、とにかく。
    「食うには困らせませんよ。私もまあ言ってみれば自由業ですが、ありがたいことに、仕事は山程舞い込んでくる」
    なんとはなしに黙り込む俺に、男が薄く笑って言った。
    「人殺しに囲われるのは、嫌ですか」
    心にもない自嘲だ。俺はいまさらなにを、と胡散臭そうな視線を向ける。
    「嫌なら、はじめからあんたとこんなことになってない」
    それは本当にそうで、だからそのことは障壁でも、懸念でもなんでもない。俺が理解できずに戸惑っているのは、男の心境の変化について、だ。
    男は、人にも、モノにも、固執しない。利害の一致から始まった関係だけど、その後も定期的に会うことになったのは、多分、男自身も予想外だったはずだ。
    俺の方は、まあ、多少は愛着というか、入れ込んでいた自覚はある。男の職業が決して表立って人には言えないもので、時に法を犯すようなものだったとしても、そんなことは問題じゃない。守られるべき倫理道徳を差し引いても、男とのセックスは格別だったし、正直骨抜きだった。ウリとして妥当な金額を受け取ったのは最初の一回だけで、それ以降は、言ってしまえばセフレに近い関係だった。
    男にとっても、俺は性欲を発散させるための捌け口だったし、これまでずっとそういうスタンスを貫いてきたように思う。行為を盛り上げる目的以外に、甘い言葉を囁かれたことも、優しく扱われたこともない。いつの間に、そんなことを言い出すくらいには俺を特別な位置に置くようになったんだろう。
    それとも、ただ単純に情が湧いただけだろうか。呼ばれるたびにしっぽを振ってとびついてくる捨て犬を、放り出せなくなったように。
    いずれにせよ、こんなプロポーズまがいのことをされるには、俺と男の間には何かが決定的に足りていない。時間とか、合理性とか、そんなんじゃなくて、もっと血の通った生々しいものが。
    「問題ないなら、イエスと答えてほしいのですが」
    さらに目を丸くする俺を、男が抱きすくめる。うなじのあたりをさすり上げる指先が、髪に触れてさりさりと音を立てた。深く息を吸えば、煙草とコロンと少しの汗がまじった男の体臭が、肺いっぱいに広がる。
    「……あんた」
    口に出した後で、しまった、と思ったけれどもう遅い。
    「俺のこと、好きなの?」
    男が俺を撫で回す手を止める。そんなことを訊いてどうするつもりだろう。居た堪れなさで顔に血が集まってきた。
    本音を言えば、ずっと訊いてみたかったことではある。同じ人間と二度は寝ない主義と言っていた男が、俺とは定期的に行為に及んでいると知った時、確かに胸がざわめいた。それでも今日まで実行に移さなかったのは、訊くだけ無駄と無理矢理にでも自分を納得させてきたからだ。
    男は何かを考えるようにしばらく視線をさまよわせ、そして言った
    「好きかどうかは分かりかねますが」

    「君を、独り占めしてみたくなったんです」

    きつくなる拘束に反して、俺の体はどんどん弛緩していく。なんだかひどくあたたかい。厚い胸の下で脈打つ心臓の熱が、皮膚を通して伝わってくるみたいだ。
    まるで魔法にかかったように、俺は頷いた。
    「わかった」

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