陽光の人 なんで、こんなことになっているんだ…。
まだ着慣れない為、生地がこなれていない硬い軍服も、身にそぐわない黒塗りの高級車の後部座席に放り込まれたことも何もかも居心地が悪くて憂鬱に拍車をかける。
ほんの数週間前まで俺…いや私は、ほんの一介の学生、というには我ながら勿体無い経歴なので敢えて自己主張するが、我が国の誇る最高学府の中でも更に頂点である帝国大学の優秀な学生だったのだ。末は博士か大臣かというあれだ。
それなのに、ある日突然、懇意の教授から肩を叩かれた。
「君が今期生で最も優秀だからこそ頼みがある。特例の無期限休学を許可すると学長からもお墨付きなのだが、軍に出向してくれないか?」
「いや、なんでですか、意味が解りません」
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