アグチの母の話 彼は幼い頃からこの世界の有象無象に興味が絶えなかった。生まれてから最も馴染みのある母の顔、さまざまなものを感じる五感、自分を世話する大きな手。
そんな彼も生まれてからちょうど10歳ほどになる頃、ちょうど暑くなってきた時期だった。
母様
ここは都内某所にあるエキゾチックアニマル専門のペットショップ「fernterre」ここには数多くの動物たちが飼育されていた。
その中でも、いつも奥の方でこそこそと布をいじっている子がいる。デグーの中でもアグーチデグーと呼ばれる茶色の種類で生まれた男の子。安口光という子だ。
彼は何にでも興味を示した。ここには光の知識欲を増加させる原因が山ほどある。
「かぁさま!今日はかぁさまに似合うお花を持ってきたんです!」
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