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    ※デグーの年齢を人間の歳換算してます
    (誕生〜1=0〜20歳 一年で20歳)

    アグチの母の話 彼は幼い頃からこの世界の有象無象に興味が絶えなかった。生まれてから最も馴染みのある母の顔、さまざまなものを感じる五感、自分を世話する大きな手。
     そんな彼も生まれてからちょうど10歳ほどになる頃、ちょうど暑くなってきた時期だった。

    母様

     ここは都内某所にあるエキゾチックアニマル専門のペットショップ「fernterre」ここには数多くの動物たちが飼育されていた。
     その中でも、いつも奥の方でこそこそと布をいじっている子がいる。デグーの中でもアグーチデグーと呼ばれる茶色の種類で生まれた男の子。安口光という子だ。
     彼は何にでも興味を示した。ここには光の知識欲を増加させる原因が山ほどある。
    「かぁさま!今日はかぁさまに似合うお花を持ってきたんです!」
    「あら、ありがとう。光は本当にいい子に育ちましたね…」
     光は母に褒められるだけで世界に色がつくような感覚になる。だが、母は決まって最後にこういうのだ。
    「無理だけはしないでちょうだい」
     いつものようにある会話に少しうんざりながら光は「わかりました」と答える。でも、それは母も同じだと、心の中では思っていても口には出せなかった。

     光の母は病弱だ。
     光を生む前からそうだったのだと聞かされていた。他の子より大人しく、体調を崩しやすい。妊娠した時も、無事に出産できるかわからない状態だったそうだ。
     それでもここまで健気に生きてる。光にはそれで十分幸せだったし、そんな母が大好きだった。
     今でも時折体調を崩してしまう母。飼育員らが懸命に世話をしているが、症状が楽になる程度だったりする。そんな時、頼るのがあの白くて丸いエサのようなもの。

     あれは薬と呼ばれていた。それを母に食べさせているところを見てからだ、自分もそれを作れるようになりたいと思ったのは。


     光は生まれてこのかた母以外と仲良くしようと思ったことがなかったため、薬の事を知っていそうな知り合いうんぬん以前に頼れる友達すらいなかった。何もかもが1からのスタートで手探りだ。自分で考えて行動するしかない。
     まず目をつけたのはペットショップの奥にあるマニュアルだった。光は飼育員が何かしらあるとそれを見て行動しているのを知っていた。こういう時、夜に歩き回れる人間の体はとても都合が良い。
    「う〜ん確かここら辺にっ…」
     幼い体で背伸びし、目的のものを取ろうとする。だが、背伸びした状態ではなかなか狙いが定まらず手を引っ掛けてしまった。
     バサバサッと複数の本が落ちた。中にはマニュアルや、薬の投与記録が落ちていた。
    「!!これだっ」
    光は投与記録を懸命に探った。母のページは案外早く見つかった。他と比べて量が多い。だが薬の種類は案外少ないようだった。それだけの期間投与されていたのか…。自覚した途端に心臓が熱くなった。飼育員たちは何をしているのか!もしや母のことが嫌いなのでは…?思わず疑心暗鬼になる。
     兎にも角にも、これでかぁさまを助けられるかもしれない!


    「光、最近夜どうしたの?お散歩ですか?」
    「えへへ、うんちょっとね!」
     母を助けられるかもしれないと希望が見えてきた光は早速、毎晩スタッフルームで研究を始めた。
     昼間は母とゲージで過ごし、夜には研究。夜も活動するのは慣れなかったが、母のためになるのだと思うといてもたってもいられなかった。

    「光も髪が伸びてきましたね」
     どんどん月日はたっていったが、光にとって幸せな毎日だ。
    「そうですね、切った方がいいのかな…?」
    「いいえ…、母様はそのままの光が好きよ」
    母が若干の間を空けながら応える。
     これはいつもだが、母は光の髪を切るのを嫌がる。元々母は可愛いものが大好きだった。お気に入りの洋服はフリルがたくさん付いているワンピースで、光へのプレゼントは決まってぬいぐるみなどの愛らしい見た目のものだ。光はそれを嫌がったことなどない、むしろ喜ばしくもあった。
     母が光を、母好みに変えてくえている気がしたからだ。


    「よしッ!できた!」
     薬はようやく完成した。母が投与されているものに比べると少々歪だったが、性能に代わりはないはずだ。早速母に飲んでもらう!
     母は疑いもせずに光が作った薬を飲んだ。光が、かぁさまに効く薬だと渡してきたという時点でそれが嘘でも母は嬉しかったのだ。そこの空間は幸せな家庭そのものだった。母は自分が病弱でも、光と一緒にいれれば幸せだった。

     光はそこで研究を終えなかった。もっと母に効く薬を、もっと効率よく。と、考えたのである。容量のいい光はどんどん知識を蓄えていった。どんどん研究に没頭し、母に投与していく。母はそんな光を誇らしく思っていた。
    「かぁさま!早く良くなってくださいね…」
    「えぇきっと、光がこんなにも頑張ってくれているんですもの。早く良くなるわ」



     ある日の昼、母の容体が急変した。
    「かぁさま!かぁさま!しっかりしてください!」
     光が今までにないような鳴き方をする。酷い熱だ、いますぐ僕が作った薬を…!
    「ごほっ…ひかる…母様は大丈夫だから…ここには直してくれる方がたくさんいます…」
     光の鳴き声に気づいた飼育員たちが急いでこちらに向かってくる音がする。寄るな!かぁさまに近寄るな!飼育員たちが光と母を遠ざける。僕が!僕が!僕じゃないと!
     飼育員が母を治療室へと連れて行こうとする。
    「どうして…?!かぁさまを助けるのは僕が…!」
     母様は自分が救わなければいけないのに!



    その時間は永遠にも感じられた。
     飼育員は詳しい話はしなかった。ただ、衰弱だったとだけ悲しそうに一言、光の頭を撫でながら言っただけだった。
     その一言でも十分理解してしまった。母は死んでしまったのだと。それと同時に飼育員たちも母のことを救えなかったことに対し自分に負目を感じているようだった。

     母は嫌われてなどいなかった、飼育員たちも母のことは大事だったのだと思い知らされた。

    「かぁさま…」
     幼い光はただ茫然と立ちすくむだでしばらく動けなかった。



    ※アグチが母に投与していた薬はただ単な解熱剤でしたが、投与する数が異様に多く母の体力が持ちませんでした。実質、母を殺したのはアグチです。飼育員は適量を投与していました。

    アグチはそれを理解できないまま成長していきます。理解するというか、あまり思い出したくない記憶です。考え始めると病む。
    アグチは母に盲目で、じきに運命の方を探すようになります。それは母を重ねており、そのせいで運命の方には性欲という感情がありません。
    母のことが若干トラウマになっており、運命の方にはかなり過保護ぎみになっています。ストーカーもその延長です。
    CSにある通りアグチは怒った時に一人称が「ワタクシ」になります。これは母の本来の一人称で名残です。
    アグチの幼女趣味は母の面影があるからです。そこから拡大していき、プリキュアなども見るように。ここら辺はただのオタク。
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