イグニハイド寮非接触型茶番ナイトレイブンカレッジ、イグニハイド寮。
原稿に追われし迷える子羊…モブ男あり。
「ああああ!!ネタが降りてこないネタが降りてこないネタが降りてこない!!!原稿落とす!今回ばかりは落とす!!!まずい!!!」
男は追い詰められていた。
勉強をしても、風呂に入っても、界隈の神々の神作を読んでも、頭をひねってひっくり返ってもネタが降りてこなかったのだ。男は追い詰められていた。とにかく締切がまずかった。
散歩がネタ出しにちょうどいいと聞きとりあえず寮内をウロウロしていたその時。
「我、性癖の神なり。汝、助けを求めるものか」
「え!?」
突如かけられた声は廊下突き当たり、寮長室が出処であった。
男は驚いた。その部屋の主がどのような性格かよくよく理解していたからだ。
「汝、助けを求めるものか。」
「おぉ…。おぉ、神よ!」
神は正直3徹目であった。推しのイベントと学園のセキュリティメンテナンスが丸かぶりしたからである。
神の徹夜続きのクソみたいなテンションが神を神たらしめてしまったのだが、モブ男がノリの良いタイプのオタクであったので神は恥をかかずに済んだ。
「神よ、次の新刊にて推しカプに何をさせれば良いのか分からないのです…。」
「流行に乗れば良い。とりあえず時間を止めてエッチな目に合えば世のオタクは喜ぶ。主に拙者とか。」
「確かに時間停止ものまだ書いてない気がする…!おお神よ!ありがとうございます!それで新刊書いてみます…!神にガチャ運があらんことを。」
モブ男は自室へ戻り原稿へ取り掛かり、神はようやく睡眠を取られた。
ちなみに神は魔剤キメまくりの徹夜テンションだったのでこの事はいまいち覚えていらっしゃらない。
夕べがあり、朝があった。第一の日である。
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「なあ知っているか?学内セキュリティメンテ中にのみ現れる寮長室の神の噂。」
「聞いた聞いた。迷える二次創作オタクに次作の天啓をさずける性癖の神だろ、俺も行ってみようかな。昨日からメンテしてるだろうし。」
噂は瞬く間に寮内に広がった。
なぜならモブ男の新刊がすごぶるえっちであったからである。
自室にて頭を悩ませていた子羊達はこぞってメンテ中の夜、寮長室前の廊下へと押し寄せた。
「おぉ、神よ。私の次作はどのようにしたら良いでしょうか。」
「汝、魔法執行官パロを書くべし。職業パロが嫌いなオタクはいないので。」
「神よ!ありがとうございます!神にガチャ運があらんことを。」
夕べがあり、朝があった。第二の日である。
「神よ、僕は推しカプをどうえちちにすれば良いのでしょうか」
「汝、推しカプ×人外を書くべし。触手はロマン」
「なるほど!神にガチャ運があらんことを…!」
夕べがあり朝があった。第三の日である。
「神よ…!私めは直ぐに推しをえっちな目に合わせてしまいますが、全年齢作品を書いた方が良いのでしょうか…!」
「汝、逆に欲に塗れよ。汝のくそえっち話で助かる命がある。ほんといつもありがとうございます。」
「おぉ、神よ!なんか振り切れました…!とびきりスケベな目に合わせてきます!あと、神、寝て。」
「…善処します。」
夕べがあり、朝があった。第四の日である。
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第七の日に神は御自分の仕事を完成され、安息なさった。
この日に神は全てのイベント周回とメンテを終えられ、安息なさったので、第七の日を神は祝福し、めちゃくちゃ支部を漁った。
「拙者がメンテしてる間に神々が拙者の性癖ドストライクの良作を量産してる…!?う…!出遅れたでござる!全部見よ…。」