赤安「お待たせ!」
「零くん……!とても可愛いよ……俺のために……?」
「お前のためじゃなかったら誰のためだよ」
カーキ色のサマーニットの下には薄手の白シャツが覗き、すらっとした黒スキニーにスニーカー。お洒落な彼とは対極に、自分はいつも通りの黒シャツに黒ズボン。一応、このシャツはブランド物で、三万もしたものだが、それでもこの全身真っ黒の組み合わせではまるで葬式のようだ。
「君は本当にセンスがあるね……」
「コーディネートしてあげましょうか。僕に見合う男に仕上げてあげますよ」
「いいのか……?」
「僕の隣に立ってる男が、そんな喪服ファッションでは相応しくないので。そうとなったら早速行きましょう、あなたに似合いそうな服が売ってる、おすすめのお店があります」
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