共にに居るということ「ただいま戻りましたよ、っと……」
相棒からの返事はなし。
真っ白な漆喰壁のお洒落なヴィラの玄関から、勝手知ったる様子でリビングへと歩みを進める。
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3週間、いつにも増して濃い時間であった。
チェズレイの療養と家族への挨拶も兼ねた南国生活は、思いの外忙しい日々だった。
チェズレイの入院、動けるようになったら母への挨拶、母から紹介を受けて一番上の兄の一家と妹のところへも2人で挨拶に行った。兄一家は子供が多く上は新成人から下は6歳まの、6人兄弟。言わずもがな、それはそれは賑やかであった。
平和で穏やかなこの国で過ごす毎日の中で、今まで向き合ってこなかったことと向き合い、考えた。もちろん、相棒の隣でね。
そんな南国生活も今日までで、明日の朝には発つ。
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