楽隊を目指したシャケの話コレはとあるシャケの話。
楽隊を目指したシャケの話。
そのシャケは、コジャケの頃からとても歌が上手かった。
だから、当たり前のように「自分は楽隊に入るのだ」と思っていた。
楽隊を組もうというシャケこそいなかったものの、同じく楽隊を目指す周りの皆も自分の歌を褒めてくれた。
何度も楽隊の試験を受けた。
何度も試験に落ちた。
今度こそと受けた10度目の試験で、
「歌なんて誰でも歌える。そんなものでは狼煙にならない。…誰も教えてくれなかったのか?」
憐れむ目で、そう言われた。
誰もそんなことは言わなかった。
確かに歌で狼煙を上げるものなど前例はない。
やはり何か楽器ができた方がいいのではと悩んだこともあった。
それでも同胞は「お前がそれになったら、第一号だな」
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