『んわぁ、やだやだ、テロスお腹やめて』
「んー?」
『わわわっ、擽ったい!擽ったいってば!』
テロスはルピナスのふわふわのお腹に顔を埋めた。それが擽ったいらしいルピナスはびくりと震えるも、下手に動くとテロスを潰してしまいそうで怖いので無抵抗である。尻尾を忙しなく揺らしながら、ルピナスは自分のお腹を撫でたり吸ったりしているテロスを恐る恐る確認した。
『あの、テロス……?』
「んん」
『怒ってる?』
むくりとテロスが腹から顔を上げてルピナスを見る。にこりといつもの穏やかな笑みを浮かべているが、その裏に仄かな怒りを感じてきゅう……とルピナスは情けない声を上げながら耳を伏せた。テロスは何を言うでもなく暫しじーーっとルピナスを見つめた後、再びルピナスの腹に顔を埋める。ルピナスはテロスにいつも甘やかされているため、テロスに怒られた時にどうしたらいいのか未だに分からない。なので今は大人しくお腹を差し出しておくことにした。