砂の肴ずいぶんと前の事だ。そのシャケに初めてあったのは。
先輩のバクダンに連れられてこの基地を訪れた彼は「初めてお目にかかります。フライと呼ばれております。」
それだけ言って深く頭を下げ、また先輩の後に控えるようにして下がった。目と口元に火傷痕があるから、それが名の由来だろう。
…バクダンらしくないシャケだな、というのが正直な感想だった。なんというか覇気とか高揚な意気というようなものが感じられない。
まあ、バクダンであっても隊長でないならそんなものかと思っていると、
「今日はコレの顔見せも兼ねて連れてきました。今後、フライが来ることもあるかと思います。」
大柄なバクダン、ハーディ殿がそう付け加えた。
基地間の交流に付き添い以外で隊長でないものが来るとは考えにくい。
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