眠れぬ夜に眠れなくて、目を覚ます。
ようやく慣れてきたベッドから上体を起こして、スマホを見る。午前二時。二十三時にはベッドに入ったはずだから、三時間。眠ることを諦めるには十分な時間だろう。
水でも飲みに行こうか。そう思ってベッドから出ると、同室の男に声を掛けられる。あちらも、眠れぬ夜だったようだ。
「HiMERUさん、どっか行くんスか?」
「少し気分転換に。南雲はまだ粘りますか?」
「う〜みゅ……。鳴上先輩が起きた時に誰もいないのも申し訳ないし、もう少し粘るッス」
それに頷いて、ブランケットを肩に掛ける。
そのまま部屋を出ようとして、そういえば、と思いついてペンと便箋と、いくつかの封筒を引き出しから取り出した。
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共有ルームに足を運ぶと、明かりが灯っていた。先客がいるらしい。引き返そうかと迷って、そのまま進むことにした。なんにせよ水分は摂っておきたい。その後は、またどうするか考えよう。
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