最上級の祝福をあなたに 私は、スメールの砂漠に住むコサックギツネ。ちょっとだけおしゃべりが好きな、かわいいキツネの女の子よ。今日は、お散歩していたときに出会った、変わった人間の話をしてあげる。
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その人は、砂漠の真ん中で、難しい顔をして地面と睨めっこしていた。その顔立ちはとっても綺麗で、砂漠が不釣り合いに見えるほど。私は、彼に引き寄せられるように、近くまで寄っていった。
すると、彼はブラウンの瞳を大きく見開いて、「うわっ」とバランスを崩してしまった。
「な、なんだ……!水か?水はあげられないからな……!」
命綱の水筒を抱えるようにして、彼は私に言った。水なんていらない、貴方が気になるだけなのに。彼の勘違いを正したくて、隣にちょこんと座って見つめてみたけれど、逆効果だったよう。彼は諦めたように、水を容器に注いでくれた。こんな環境で私みたいな存在に水をくれるなんて、ずいぶんとお人好しだ。
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