2024年👙誕! 昼と夜の争いが終わって、兄弟三人で暮らす事になった廃病院。
そのロビーに置かれた年代物の柱時計から日付が変わった事を知らせるチャイムの音が聞こえる。
ああ、そろそろ食事の用意をしなければと絵本を読み聞かせていた子どもたちに断りを入れ立ちあがろうとすると、傍にいた兄に手を掴まれて引き止められた。
「兄さん?」
「ミカエラ」
「うん?」
「誕生日おめでとう」
唐突な兄の言葉に、誕生日……? と首を捻ったところで思い出す。
日付が変わって今日は7月5日。つまり自分の誕生日だと。
「やっぱり忘れてたか」
「……むしろ、兄さんが覚えていた事に驚いた。私の誕生日なんて、良く覚えていたな」
私が子供の頃は権勢を示す為に父が大規模なパーティーを催したりした事もあったが、没落して家族がバラバラになってからは祝う者もいない自分の誕生日なんてすっかり忘れていた。
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