メルティソーダ パキン。音を立てて割れたアイスは歪な形になってしまった。片方の先がもう片方に持っていかれている。割り箸をうまく割れなかった時のようなものだ。当然オマケが付いた方を場地さんに差し出した。
「千冬ぅ。今日ヘタクソだな」
場地さんはオレの短くなったアイスと自分に差し出されたものを見比べて笑う。すみません、とオレも笑った。
自分の分を齧ると、すぐに棒に歯が当たる。先の部分は殆ど場地さんの方に行ってしまったらしい。爽やかなソーダ味が口の中に広がって、茹だるような暑さがほんの少しマシになった気がした。
「あれ、どうかしました?」
アイスを見つめたままの場地さんに声をかける。既に表面が溶けかけているので急いで食べないと落ちてしまうと思った。
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