あいにく気だるい空気の漂う寝室に、月明かりが鋭く差し込む中、俺はふと目を覚まし、傍らで安らかに眠る彼の頭をそっと撫でた。
(ごめんなあ)
今日は朝から、些細なすれ違いから我を忘れて声を荒げてしまったり、かと思うと先ほど仲直りし夢中で互いを貪ったりと、振り返れば自分を見失ってばかりだったなと胸中で苦笑いする。こちらの方が年上なのになんとふがいないことだろう。
(それでも)
この美丈夫は俺を慕ってくれている、今は。
(手放す気は全く無いんだよ、悪く思わないでくれ)
もぞりと寝床が動き、両手で顔を覆って悶える彼が言った。
「ごめん、もう……あんた可愛いすぎ……」
うっかり口にしていたのか。
「忘れてくれ……」
「嫌です……」