2m超え半神ガチムチマッチョ×押し掛け女房村娘の馴れ初めキィ、と車輪が軋んで揺れが止まる。
里の広場から響く賑やかだったお囃子の音は既に遠く、山道をかなり登ってきたことの証しだった。
年に一度の天狗様へのお供え。限られた男衆しか行けない天狗様の社には、里で作った作物や酒、今朝水揚げされたばかりの新鮮な魚などが荷車いっぱいに乗せられて奉納される。
「天狗様、今年も何卒、何卒、里をお護りくだせぇ。何卒、何卒、宜しくお願い申し上げまさぁ」
柏手を打ち、最も年配の男衆が声を張り上げる。
木々を揺らさんばかりの大声の残響が全て消えたとき
「承ろう」
低く、短い返事と共に、あの方が社から姿を表した。
まず目を引くのはその体躯。身の丈七尺(2m以上)はあろうかという長身に、着物の上からでも分かる筋骨隆々の逞しい四肢。
1809